林家たい平さん(撮影/写真映像部・高野楓菜)
林家たい平さん(撮影/写真映像部・高野楓菜)

 武蔵野美術大学卒という落語家としては異色の経歴を持つ林家たい平さん。母校の客員教授として、プレゼンテーション力を磨くための授業を担当している。編み出したその方法とは──。

【写真】たい平さん3本目の主演映画「でくの空」の場面カットはこちら

 たい平さんは母校・武蔵野美術大学で、客員教授を務めている。「最近の学生はプレゼンテーション力が落ちているので、言葉を生業にしているたい平さんにプレゼン力を磨くための授業を」と請われたのが十数年前。

「でも僕は、授業を授業と呼ばないんです。毎回、最初に、『今日の90分始めます』って言います。“授業”は“授ける生業”っていう意味だけど、僕の90分では、学生に生業なんて授けられませんから(笑)。スキルやテクニックは授けられないけど、先輩として、自分が生きてきて気づいたことを伝えるつもりでやっています。最初に、『プレゼン力って何だ?』と考えたときに、結局、自分が好きで、その好きな自分が作った作品じゃないと、プレゼンなんかできないと気づいた。自分が嫌いで、何の目標もなく、ダラダラ毎日寝坊してる自分が生み出したものを、人に『いいでしょう?』なんて言えるわけがない。だから、プレゼン力を上げるためには自分を好きになることが大前提」

 最初は、何をしていいのかわからずに、落語ばかりやっていた時期もある。「先生の授業すごくラク」と学生に言われ、「何か、自分と向き合わせる方法はないか」と考えて、編み出したのが「妖怪図鑑」作りだった。

次のページ