「第7波」の爆発的拡大で、全国の感染者数が過去最多となっている。精神科医・和田秀樹さんは、この時期の「コロナうつ」に警鐘を鳴らす。

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 新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから、報道などで「コロナうつ」という言葉を聞く機会が増えました。とはいえ、「普通のうつ病と何が違うの?」と疑問をお持ちの方もいるでしょう。

 症状自体は普通のうつ病と大きくは変わりません。何かのきっかけで気分が沈むことは誰にでもあるでしょうが、「何にも興味が湧かない」「食欲がない」「眠れない」といった状態が長期間続くときは、うつ病の可能性が疑われます。私の場合、特に外出自粛や会社の倒産など、コロナ禍が背景となってうつ病を発症する場合を指して「コロナうつ」と呼んでいます。

 コロナうつが増えたと感じるようになったのは、21年に入ってからです。世代別に見て、割合が高いのは高齢者。感染や重症化のリスクが高いと判断され、家に閉じこもる生活を強いられた方も多く、元気がなくしゃべらなくなった、体が衰弱したといった相談を本人や家族から受けることが多くなりました。

 うつ病かどうかを見分けるのは、たとえ家族であっても至難の業です。うつになると「死にたい」という言動が増えると言われますが、元気がなくなるだけ、食欲がなくなるだけのこともあります。家族に兆候を感じたときは、言葉だけを信じず「体重が減っていないか」「夜中に何度も起きていないか」など、以前と比べての行動の変化を観察してみてください。他の病気もそうですが、うつ病もまた、早期発見・早期治療が回復のカギです。プライドから病院に足を運びたがらない人もいますが、家族の様子がおかしいと感じたなら、「点滴打ってもらおうか」などと言いながら、早めに医者に連れていくのがいいでしょう。

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