イベント前半では松本隆さん(中央)の聞き手役をTFMのラジオマン、延江浩さん(左)が務めた。右はフリーアナウンサーの宇賀なつみさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
イベント前半では松本隆さん(中央)の聞き手役をTFMのラジオマン、延江浩さん(左)が務めた。右はフリーアナウンサーの宇賀なつみさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

「赤いスイートピー」や「木綿のハンカチーフ」「硝子の少年」など数々のヒット曲を手がけ、昨年、作詞活動50周年を迎えた松本隆さん(73)が6月17日、母校の慶應義塾大学で「言葉の教室」と題するシンポジウムに臨んだ。

 イベント前半は「松本隆 言葉の教室」(マガジンハウス)を昨年まとめたTOKYO FMのラジオマン、延江浩さんと対談した。

 対談では、松田聖子さんが歌った「瑠璃色の地球」に話が及んだ。1986年、神田沙也加さん(享年35)を妊娠中だった聖子さんのアルバムに、松本さんが提供した曲だ。

「ちょうど沙也加ちゃんがおなかの中にいて、おっきいんですよ。そうやって母になるぐらいだから、ほれたのなんだのでない、ちょっと大きなテーマでも歌えるかなってああいう歌ができた」

 と松本さんは振り返った。

「♪夜明けの来ない夜は無いさ」で始まる同曲は、2011年の東日本大震災以降、合唱曲のスタンダードとして、歌われることが増えた。

 新型コロナウイルスの感染が広がった20年には、プロ・アマ問わずユーチューブでこの曲を歌う映像がアップされ、年末のNHK紅白歌合戦で聖子さんが「瑠璃色の地球」を歌った。

 松本さんは「瑠璃色の地球」を「トランプのジョーカーみたいな存在」と評した。

 「時代とか社会がすごく困ったときに、本当に救ってくれる。そんな歌を作ろうなんて思ってなかった。コーラスで歌ってる人たちは、松田聖子の歌だってあんまり知らないし、松本隆が書いたなんてこともたぶん、わかってない。楽曲が命をもって、そこに残ってる。大瀧詠一がよく『俺はよみ人知らずになりたい』って言ってたけど、そういう意味では、僕のほうがよみ人知らずになった」

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 イベント後半は、松本さんが母校の学生たちの質問にユーモアと愛情ある答えで応じ、会場を盛り上げた。主なやりとりを紹介する。

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「なぜあんなに女心わかる?」松本さんの答えは・・・