企画展「町子かぶき迷作集」のチラシ
企画展「町子かぶき迷作集」のチラシ

「サザエさん」をはじめ昭和の庶民の暮らしを生き生きと描いた漫画家・長谷川町子さんが大の「歌舞伎」好きだったことは知る人ぞ知るお話。そんな町子さんが、「歌舞伎」の有名な演目を、自分流にアレンジして描いたのが『町子かぶき迷作集』。収録された原画を近くで観賞できる企画展が7月24日まで、長谷川町子記念館で開催されています。

【写真】超貴重!町子初の歌舞伎マンガがこちら

「町子かぶき迷作集」と書かれた暖簾を潜って会場に入ると、町子さんが歌舞伎座に依頼されて描いた磯野家の面々が旧歌舞伎座へ入っていく絵がお出迎え。

 奥へ進むと、町子さんが最も憧れていた歌舞伎役者・九代目市川海老蔵(現在の市川海老蔵さんの祖父)にまつわる展示が。九代目から町子さんへ送られたお礼の手紙やはがきが、町子さんが大事に持っていたというブロマイドと共に展示されています。九代目といえば、当時のスーパースター。その九代目と町子さんは、偶然街中で会って一緒にお茶したこともあるほど(自伝漫画&エッセイ『サザエさんうちあけ話』<弊社刊>に詳しく書かれています)。当時のスターは、自分を応援してくれる漫画家にきちんと手書きでお礼状をしたためたんだと、感心してしまいました。

 そしてなんといっても注目は、「切られ與三郎」「三人吉三巴白浪」など、『町子かぶき迷作集』に収録された原画です。町子さんがきめ細かい線を描き、色を付け、ストーリーも歌舞伎の演目本来のものよりユーモラスにアレンジしています。

次のページ