森崎ウィン(もりさき・うぃん)/ 1990年生まれ。ミャンマー出身。2008年俳優デビュー。同年~20年、ダンスボーカルユニットの一員としても活躍。18年公開の映画「レディ・プレイヤー1」でハリウッドデビュー。20年、MORISAKI WIN名義の配信シングル「パレード-PARADE」でメジャーデビュー。21年5月にはファーストアルバム「Flight」をリリース。初のトラック制作にも挑戦した。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
森崎ウィン(もりさき・うぃん)/ 1990年生まれ。ミャンマー出身。2008年俳優デビュー。同年~20年、ダンスボーカルユニットの一員としても活躍。18年公開の映画「レディ・プレイヤー1」でハリウッドデビュー。20年、MORISAKI WIN名義の配信シングル「パレード-PARADE」でメジャーデビュー。21年5月にはファーストアルバム「Flight」をリリース。初のトラック制作にも挑戦した。(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 演者としてだけではなく、一人の人間としても、“感動をシェアすること”“ボーダーを超えること”を目標にしている。

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 森崎ウィンさんは、1990年の8月に、ミャンマーのヤンゴンに生まれた。両親は日本に勤務していたため、9歳までは祖父母に育てられた。

「おばあちゃんが英語塾を経営していて、その塾の先生たちにも可愛がってもらいました。10歳のときに日本に来て、両親と暮らし始めましたが、特に裕福な家庭ではなかったので、インターナショナルスクールに通うような選択肢はなくて(笑)。日本語は全くしゃべれなかったけれど、母から、『明日から、普通に日本の学校に行きなさい』と言われて、『はい』と」

 慣れない環境に最初は苦戦したが、熱意のある教師と、偏見を持たない友人との出会いに恵まれ、1年後には、日常生活に不自由しない程度の日本語はマスターした。当時はサッカー少年で、「将来はサッカー選手に」という夢を抱いていたが、中学2年生のとき、現在の事務所にスカウトされる。以来、週に1回のペースでダンスや演技のレッスンを受けた。

森崎ウィンさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
森崎ウィンさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

「人前で自分を表現するなんて、それまでまったく興味がなかったことでしたが、やってみたら夢中になりました。でも考えてみれば、日本の小学校に転入したばかりのときも、ミャンマーの授業にはなかった図工や音楽の時間が、すごく楽しかったんです。日本語が話せなくても参加しやすかったこともあるでしょうけど、美術や音楽は、ボーダーを超えるコミュニケーションツールになりうる、ってことですよね。手を使って物を作っていくことや、みんなで一緒に歌を歌ったり、楽器を演奏したりすることが、何か仕事に結びつくなんて、ミャンマーにいた頃は想像できなかった」

 当時は、仕事が欲しければ、オーディションで役を勝ち取る必要があった。ウィンさんが2008年にドラマデビューを果たすまでには、スカウトされてから3年の月日が経っていた。

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