「フィジカルサポートカラー」のテストレンズ。全25色ある
「フィジカルサポートカラー」のテストレンズ。全25色ある

 レンズの色と目には不思議な関係があり、その人に合った色のレンズをかけると心身のパフォーマンスが向上する──。経験的に知られていたことに着目して開発されたのが、「フィジカルサポートカラー(R)」だ。販売元のエスエイビジョン・吉田靜雄さんはこう語る。

「人が最もまぶしさを感じるイエローライトをカットするレンズがあるのですが、一部、『効果が実感できない』というお客様がいました。人が色を感じる錐体細胞の感度には個人差があり、イエローライトの波長を必要とする人がいると推測されました。また、パソコン用ブルーライトカットレンズも同様で、ブルーライトの波長を必要な人もおり、目の感受性の違いに気づきました」

 そこで、三井化学ファインとカラーレンズ事業の拡大を模索していたところ、淡路島(兵庫県)に拠点を持つInnochi(イノチ)の「イノチグラス」にたどり着く。

「『イノチグラス』は、代表の灰谷孝さんが目と心と体の関係について独自に研究開発したもの。目にはその人固有の得意な色と不得意な色があることを発見し、得意な色の眼鏡をかけると、疲れにくくなる、集中力が高まる、体幹が安定するなど、心身のパフォーマンスが改善されることがわかったのです」(吉田さん)

 Innochiから技術ライセンスを受け、三井化学ファインとエスエイビジョンが「フィジカルサポートカラー」を開発。体のバランスや身体機能の変化を確認しながらレンズの色を選定し、心身のパフォーマンス改善を目的とした眼鏡やサングラスを作るという。

 度付きにも対応している。

 この仕組みの解明を目指して6月、東北大学大学院医工学研究科などと共同研究が始まった。「私も自分に合った黄色のレンズの眼鏡を使い始め、体のだるさがなくなりました。サングラスが苦手な人は、もしかしたら色が合っていないのかもしれません」(同)

 現在、全国約50の眼鏡店で「フィジカルサポートカラー」を扱っている。(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2022年7月15日号