※写真はイメージです (GettyImages)
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 私たちの健康のために、なくてはならない存在になっている薬。便利な半面、副作用による体への悪影響もあり、メリット・デメリットを比較すると使用しないほうが良いと言わざるを得ないものもある。

【表】浜医師による「要注意な薬」はこちら

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 胃・十二指腸潰瘍は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーなど強力に酸を抑制する薬剤によって、手術をする必要はほとんどなくなった。PPIは胃潰瘍には8週間、十二指腸潰瘍には6週間と使用期限が定められている。だが、逆流性食道炎には長期間にわたって使われる。その結果どうなるのか。医薬品に関する調査・研究を行っているNPO法人「医薬ビジランスセンター(薬のチェック)」理事長で内科医の浜六郎医師はこう語る。

「プロトンポンプは胃ばかりではなく、体のほとんどの細胞にある。そのすべてを阻害するので免疫や神経の働きが悪くなる。肺胞内に菌が繁殖しやすくなり、肺炎を起こす恐れがあります」

 ダイエットの“特効薬”と思われがちなやせ薬も、そのリスクをよく認識する必要がある。神経に作用するばかりか、心臓弁膜症を起こす可能性がある。

「血管を収縮する作用があるので、心臓の弁を開け閉めする筋肉への栄養が欠乏して動脈硬化を促進し、線維化するとブツッと断裂する。弁を引っ張れなくなって弁膜症になり、突然死するリスクもある。米国では使用中止になったやせ薬が何種類かあります」

 睡眠剤については、精神科医で老年内科医でもある和田秀樹医師に聞いた。高齢者がハルシオンやデパスなどベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠剤を飲んで、転倒して骨折する例が少なくないという。和田医師が解説する。

「BZは寝つきをよくしますが、眠りを深くしてくれません。若い人ならば一度寝てしまえば朝まで起きないパターンが多いのですが、高齢者は眠りが浅くて夜中に何回も目覚めるという問題は解決されません。夜、目覚めたときに足の筋肉の力が抜けたような状態になるので、転倒・骨折のリスクが高いのです。ただし、寝たきりの状態にある人が寝付けずに苦しんでいる場合であれば、使ってもいいと思います」

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