最有力候補の村上宗隆
最有力候補の村上宗隆

 昨年の東京五輪で金メダルを獲得した侍ジャパン。有終の美を飾った稲葉篤紀前監督(現日本ハムGM)が退任し、日本ハムの監督を昨年まで務めていた栗山英樹監督が新たに就任。23年3月に開催予定のWBCに向けて、どのようなチーム作りを行うか注目される。

【写真】実績は申し分ない巨人「不動の4番」の豪快スイング

 「栗山構想」の輪郭が見えたのが、初采配を振るう予定だった今年3月の台湾との強化試合だった。新型コロナウイルスの影響で中止となったが、チームの公式YouTube「侍ジャパンチャンネル」に出演した際に招集する予定だったメンバー28人を公表している。

 投手陣を見ると、ロッテ・佐々木朗希、オリックス・宮城大弥、巨人・戸郷翔征の名前が。野手はヤクルト村上宗隆、巨人・岡本和真阪神・佐藤輝明、DeNA・牧秀悟らチームを代表する強打者たちの他、外野手でロッテ・藤原恭大、中日・根尾昂が名を連ねていた。

 藤原、当時野手登録だった根尾はプロ入り後に伸び悩んでいた印象があっただけに意外な人選だったが、栗山監督は日の丸のユニフォームを身にまとうことで覚醒のきっかけをつかんでほしいという思いがあったのだろう。

 注目されるのは4番打者だ。東京五輪では鈴木誠也が全5試合で4番を務めたが、昨オフにFA移籍でカブスへ。チームの中心選手としての期待が大きいことから、来春のWBCに出場できるかは不透明な状況になっている。

 その中で新4番の最有力候補がヤクルト・村上だ。交流戦では18試合出場で打率.351、6本塁打、13打点。チームを優勝に導き、MVPに輝いた。打ってほしい場面で勝負強さを発揮することに4番の価値がある。交流戦の本塁打の内容をみると、勝ち越し打が2本、逆転打が2本、サヨナラ打1本と勝負を決める一撃が多い。リーグ戦再開後も絶好調をキープ。

 6月の月間成績は23試合出場で打率.410、14本塁打、35打点と圧巻の数字を残した。シーズン通算で打率.315、29本塁打、78打点。年を重ねるごとに進化を続け、穴がない打者になっている。出塁率と長打率を合わせたOPSはリーグ断トツトップの1.145。22歳の和製大砲は50本塁打を超えるペースで、三冠王も射程圏内につけている。

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国際試合では初対戦の投手への対応力も