9回4番手で登板した根尾。写真・日刊スポーツ新聞社
9回4番手で登板した根尾。写真・日刊スポーツ新聞社

 投手・根尾昴(中日ドラゴンズ)の評価は難しい。ただ、大きな可能性を秘めていることは間違いないだろう。野手から投手に転向を決断し、初めて本拠地で登板した6月19日巨人戦(バンテリンドーム)。4点ビハインドの9回2死で岡本和真に対し、初球を外角低めの149キロ直球でストライク、2球目は外角低めのスライダーで空振りと2球で追い込むと、4球目の直球は自身最速の151キロを計測。最後は外角高めの149キロ直球で空振り三振に仕留めた。

【写真】守備練習をする根尾

 パドレスのダルビッシュ有は現地時間の19日に自身のツイッターを更新。根尾の投球動画と共に、「根尾投手、素晴らしいですね スライダーも一級品です」とつぶやき、ファンの質問に答える形で、「プロで投手経験がほとんどないのに、あれだけの球をストライクゾーンに投げられているだけで凄いです! 課題というか伸び代しかないなという印象ですね」と高く評価した。

 他球団のスコアラーは根尾の投球をこう評する。

「3年間のブランクがあって、直球が150キロを計測することが信じられない。野手でプレーしてきましたが、足腰が強くなり打者として投手心理を読む作業を積み重ねた時間は決して無駄ではないでしょう。『高校時代の投げ方が良かった』という意見もありますが、マウンドから離れていた期間が長いので『野手投げ』になるのは仕方ないと思います。高校時代に戻すのではなく、新たに土台を築けばよいのではないでしょうか。立浪(和義)監督は根尾を先発で育てる方針をコメントしていましたが、個人的にはリリーフの方が適性があるように感じます。球種が多いタイプではないので短いイニングで腕を振った方が直球、スライダーを生かせる。ピンチに動じるタイプでもなさそうだし、投手・根尾は重圧を力に変えられる性格だと思います」

 大阪桐蔭では投手と遊撃の二刀流で名を轟かせた。2年春、3年春と2年連続で甲子園決勝戦のマウンドに立ち、優勝投手に。3年時は同学年の藤原恭大(ロッテ)、中川卓也(早大)、山田健太(立大)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)らと共に春夏甲子園連覇を飾った。

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まだ22歳。大学4年生の年