──思いを寄せた男性が私大文系の女子を好きになってしまった切なさを歌う「学歴の暴力」をはじめ、高学歴女子ならではの悩みを綴った歌詞が特徴的です。学歴があることで、これまでどんな場面でやりづらさを感じてきましたか。

なつぴ  「可愛げがない」「プライドが高そう」というイメージを持たれることはよくあります。職場でも、外国の人との英語でのやりとりとか、壊れた機械の修理とか、やったこともないようなことを押し付けられ、断ると「東大卒なのにそんなこともできないのか」と言われてしまう。勝手に期待をかけられてガッカリされている感じがします。

えもり 一番大きい苦労は恋愛面ですね。周囲を見ていても、男性よりも学歴が高いために敬遠されてしまうことが多いです。

あずき 自分の個性が大学名に集約されるのが嫌でした。人が私のことを紹介するとき、「頭がいい」以上の情報が語られない。自分の取柄はそれだけかとモヤモヤしていたんです。それだけに「学歴の暴力」の曲を初めて聴いたときは「自分の気持ちを書かれているみたいだ」とピンと来るものを感じました。新メンバーの募集告知を見かけた時には、迷わず応募しましたね。

──例えば初対面の相手に出身大学は聞きにくいなど、「学歴」は実社会で正面切って触れづらい話題の一つです。ここまでストレートに「学歴ネタ」を歌詞に織り込むのはなぜですか。

なつぴ  自分たちの存在を知ってほしいという気持ちからです。普通のアイドルとして普通に恋愛ソングを歌っても、きっと埋もれてしまう。それなら、「学歴」という武器を最大限生かしたい。万人に受けるよりは、ヒール役に徹したいと思っています

えもり 「お客さんに面白がってほしい」という気持ちもあります。日常生活でストレートに言うと顰蹙を買う内容も、楽曲という形を通してであればキャッチーに伝えることができる。「どうやったらインパクトのある伝え方ができるだろう」と、私達自身、楽しみながら考えています。

 結成から約1年が経ち、「2人では大人数のグループに比べて華やかさが足りない」「名古屋にいるからには東海方面の大学出身者も加えたい」とメンバーの増員を決めた。「最初はネタ的なノリもありましたが、せっかく東大・京大・名大と揃ったので、今後はさらに旧帝卒出身のメンバーを増やしていきたい」とえもりさんは話す。現在、既にTwitterではメンバー募集が出ているが、告知文も「学歴フィルターあり。旧帝大卒以上」と、「ガクボ色」が全開だ。

 高学歴女子としての苦渋を味わいながら、今ではそれを逆手に取って表現活動を行う彼女たち。辛い経験もユーモアに変え歌い上げる姿勢には、強さと賢さが宿っていた。(本誌・松岡瑛理)

※週刊朝日オンライン限定記事