小林製薬「テイラック」のパッケージ(同社提供)
小林製薬「テイラック」のパッケージ(同社提供)

 低気圧によって起こる症状を改善するために2020年に発売されヒットした医薬品のひとつが、小林製薬の「テイラック」。古くからある漢方・五苓散が主な成分だ。「テイラック」ブランドマネージャー・井上慎二さんがこう語る。

「『天気の悪いときに頭が痛くなる』などといった声がSNSなどで多く見られるようになり、弊社のアンケート調査でも3人に1人が同様の症状に悩んでいる実態が見えてきました。対処法としては睡眠や休息を十分にとったり、市販の頭痛薬を飲んだりするという声が多く、低気圧による不調の専門薬がないのではないか、ということに気づいたのが開発のきっかけでした」

 小林製薬では、気圧変化によって生じる頭痛・だるさ・めまい・むくみなどの症状を「低気圧不調」と定義。同社の研究開発者・植田愛美さんは、「低気圧不調」が生じるメカニズムをこう説明する。

「低気圧や気圧の急激な変化により体内の水分バランスが乱れると、血管拡張や自律神経の乱れが起こります。脳内の血管拡張で周りの神経を圧迫することで頭痛を、自律神経の乱れがだるさやめまいを引き起こすと考えられています」

 前出の佐藤医師は、メンタル面への影響についても指摘する。

「気圧や天気の変化にともなって自律神経が乱れると、『幸せホルモン』と言われるセロトニンの分泌などにも影響が出て、身体だけでなく心理的な面でもストレスが高まることが考えられます。梅雨や季節の変わり目は、特に注意が必要です」

■耳マッサージで血行不良を改善

 まさに正念場とも言えるこれからの季節、われわれはどのように低気圧や気圧変化に向き合っていけばいいだろうか。佐藤医師は、耳をマッサージするなどし、血行をよくすることをすすめる。

「気圧の変化を感じるのは、耳の奥にある『内耳』だと考えられます。耳の血行不良を改善するため、耳たぶを指でつまんで軽く引っ張る、くるくる回すといったマッサージをしたり、温めたりすることで、『天気痛』の症状を緩和できる可能性があります。首回りのストレッチや運動をすることで、血行をよくすることも提唱しています」

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