埼玉県の窓口で電話相談を受ける臨床心理士。同県在住・在勤者男性の相談についてはhttps://www.pref.saitama.lg.jp/withyou/counsel/mens.htmlを参照のこと
埼玉県の窓口で電話相談を受ける臨床心理士。同県在住・在勤者男性の相談についてはhttps://www.pref.saitama.lg.jp/withyou/counsel/mens.htmlを参照のこと

 電話は鳴りっぱなしだ。埼玉県男女共同参画推進センターが実施している「男性臨床心理士による男性のための電話相談」への相談件数が過去8年で約3倍に増え、4月からは月1回だった相談日を2回に増やしたほどだ。

【図】「『男』悩みのホットライン」への相談内容の変化はこちら

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 埼玉県の男性専用電話相談に寄せられる悩みは多岐にわたる。

「妻が子供を連れて出ていってしまった」「コロナ禍で収入が減ってしまった。転職したい」など、夫婦・親子関係から自分の性格や生き方、職場の悩みまでさまざま。長くなると1人で1時間以上の相談となる。相談窓口が開設されているのは午前11時から午後3時までで、相談員は2人なので1日に10件ほどしか相談を受けられないという。

 それでも相談件数は増えており、2020年度の相談件数は112件、21年度が110件と、14年の設立当初の約3倍に増えているという。センターでは「電話が全然つながらない」「もっと回線を増やしてほしい」という要望が増えたため、月1回(第3日曜日)だった開設日を、4月から月2回(第1・第3日曜日)に倍増させた。

 同センターの担当者は「相談したくても電話がつながらないという要望に応えられるようにするため。もっと認知度を上げていく必要があると考えています」と話す。

 それだけ相談希望者が多いなら、さらに相談日を増やす可能性はあるかというと、それは現状では難しいという。

「現在は埼玉県公認心理師協会にお願いして相談員を派遣していただいているが、相談員は足りているとはいえません」(同担当者)というのだ。

 実は全国でも、男性相談員による男性専用相談ができる窓口数は80カ所を下回るほどしかない。埼玉県に限らず、どこの窓口も電話が鳴りっぱなしの状態であることは変わらないのである。

 実際に男性専用電話相談に相談したことがある男性Aさん(40代)は、相談窓口があることを知らなかったという。相談窓口を知ったきっかけはSNSへの投稿だった。

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