なお 1995年生まれ。福岡県出身。地元福岡での芸能活動を経て上京。「ポーラスター東京アカデミー」で1年演技を学ぶ。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(18年)の親友役にオーディションで選ばれ、翌19年に「終わりのない」で初舞台、「ハルカの陶」で映画初主演。MIRRORLIAR FILMS Season3「可愛かった犬、あんこ」が現在公開中。公開待機作に「TANG タング」「マイ・ブロークン・マリコ」。(撮影/張 溢文 ヘアメイク/竹下あゆみ スタイリスト/岡本純子(Afelia))
なお 1995年生まれ。福岡県出身。地元福岡での芸能活動を経て上京。「ポーラスター東京アカデミー」で1年演技を学ぶ。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」(18年)の親友役にオーディションで選ばれ、翌19年に「終わりのない」で初舞台、「ハルカの陶」で映画初主演。MIRRORLIAR FILMS Season3「可愛かった犬、あんこ」が現在公開中。公開待機作に「TANG タング」「マイ・ブロークン・マリコ」。(撮影/張 溢文 ヘアメイク/竹下あゆみ スタイリスト/岡本純子(Afelia))

 地元・福岡でモデルやレポーターとして活動しながら、「いつかお芝居にも挑戦してみたい」と考えていた奈緒さん。初めて芝居のワークショップに参加した高校生のとき、えもいわれぬ体験をした。

【写真】蒼井優だと勘違いする人続出!?「あな番」出演当時の奈緒さん

「普段の自分では絶対に起こり得ないような感情が芽生えて、すごく驚いたんです。ありえないぐらい大きな声が出たり、あまり怒ったことがないのに、沸々と身体の奥に怒りの感情が湧いてきたり……。自分の新しい面に出会って、『私は、自分自身のことをよく知らないんだ』『自分の知らない自分が眠っていて、それが今後出てくるかもしれないし、眠ったままかもしれない』とか、いろんなことを感じました。自分のことで頭がいっぱいだったのが、『お芝居を通してなら、自分以外の人間にも、目を向けられるかも』と思ったんです」

 生後7カ月で父を亡くし、父の顔を知らずに育ったせいだろうか。思春期を迎える前から、「人はなぜ生まれてくるんだろう?」という問いが、いつも頭の中にあった。「あの人は優しい」という会話を耳にしただけで、「本当に優しいってどういうこと?」と考えてしまう。そんな、物事を突き詰めていく性格が、俳優の仕事では役に立つと直感したのかもしれない。

 20歳のとき、「ちゃんとお芝居がやりたい」と、母の反対を押し切って上京。CMなどの仕事をしながら、脚本家の野島伸司さんが総合監修を務める「ポーラスター東京アカデミー」で1年間演技を学んだ。

「お芝居をしていると、『私ってこんな冷たいところがあったんだな』とか、自分の弱い部分や愚かな部分、未熟さや貧しさに気づいて、ショックを受けることがよくあります。でも、登場人物たちには、見習うべきところや学ぶべきところがたくさんあって、そこから影響を受けて、『私も頑張ろう』って前を向ける。人は、生きていく中で、読んだ本に影響を受けたり、それまでに出会った人に影響を受けたりしながら、自分の生きる道を探っていくと思うのですが、私にとっては、人生において影響力を持った人物が、自分の演じる役であることがすごく多いんです」

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