トラック野郎が愛する「河辺ドライブイン」(秋田)/「河ドラ」と呼ばれ親しまれてきた本店
トラック野郎が愛する「河辺ドライブイン」(秋田)/「河ドラ」と呼ばれ親しまれてきた本店

「道の駅」や大型のショッピングセンターの台頭で存在感が薄れているドライブイン。だが最近は、個性的な店構えやサービスが改めて注目されている。長きにわたり地域で愛されるドライブインを紹介しよう。

【写真】腹が減ったら河ドラへ!一番人気の「ドラめし」ホルモン定食はこちら

>>前編【昭和感漂う「個性派ドライブイン」 映画・アニメ聖地と“映え”で脚光】より続く

 ボリュームのある定食でドライバーや地元客の支持を集めるのが、秋田市と大仙市を結ぶ国道沿いにある河辺ドライブイン(通称・河ドラ、秋田市)だ。1967年の創業以来、「腹が減ったら河ドラへ」をモットーに、55年間、営業を続けてきた。店主の曽我雅也さん(46)は言う。

「創業者である父が長距離トラックの運転手だったこともあって、料理の味や量にこだわりがあります」

 当時は今ほど高速道路も整備されておらず、秋田から首都圏まで、国道などの下道を使って荷物を届けることが多かった。創業時に掲げた「東京まで腹をすかせずに到着させること」という思いを今も大切にしている。

 一番人気のホルモン定食や肉野菜定食、鳥からあげ定食は、いずれもボリューム満点。定食だけでなく、丼やうどん、ラーメンなど、新しいメニューも客の求めに応じて増やしてきた。最近は秋田県トラック協会と協力し、栄養が偏りがちなトラック運転手向けのオリジナルメニュー「ドライバー飯(ドラめし)」の開発に取り組んでいる。

 コロナ禍の逆境にもかかわらず、2020年5月には市内に2号店(追分店)、21年8月には大仙市にセントラルキッチンを兼ねた3号店(協和店)を相次ぎ出店し、多店舗展開に乗り出した。

「新しい店を出すタイミングに驚く人もいましたが、以前から考えてきたことで、従業員とも話し合って決めました。数年内には県北部や南部など秋田市近郊以外にも出店したい。県内で誰もが知るような店になったら、海外展開にも挑戦する目標です」(曽我さん)

 この5月には冷凍ホルモンや冷凍ギョーザのネットや自販機での販売を本格的に始める。積極経営に打って出られるのは、地元客や地域の支持というしっかりした基盤があるからだ。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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