「82年組」のレコードジャケット (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
「82年組」のレコードジャケット (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 日本が上り調子だった80年代、アイドル人気も熱かった。中でも“なんてったって”際立つのは1982年。数々の伝説(レジェンド)たちがデビューした当たり年だ。あれから40年が過ぎた今、アイドル黄金時代到来の秘密をひもとく──。

【「花の82年組」女性アイドルの主なシングル曲はこちら】

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 誰が呼んだか“花の82年組”。

 中森明菜小泉今日子、石川秀美、早見優、シブがき隊、堀ちえみ、三田寛子……世代を超えて高い知名度を誇り、しかもその多くが現在も一線で活躍する彼ら彼女らは、皆1982年にデビューした。日本の芸能史でもまれにみる当たり年であったことから、前年秋デビューの松本伊代も含め、いつしかそう呼ばれるようになった。

 当時の熱気の一端が感じられるスポットが、東京・神田の居酒屋「80年代酒場 部室」。店内には80年代アイドルのポスターやレコードジャケット、グッズなどがぎっしりと並び、タイムスリップしたような感覚を味わえる。店を訪れるお客さんの層は、

「80年代前半に青春を送った、“スーパーど真ん中”世代の方が多いですね」

 と、店主の安野智彦さん(53)。安野さん自身も当時は中学生で、まさに“スーパーど真ん中”世代の一人。早見優のファンだったという。

「『明星』や『平凡』の切り抜きを、下敷きがわりに使っていたクリアケースにみんな入れてましたよね。雑誌は切り抜いたあとだらけになりました(笑)」

「82年組」が残した作品群には、近年、当時をリアルタイムで知らない若者たちからも注目が集まっている。ハロー!プロジェクトのアイドルグループ・BEYOOOOONDS(ビヨーンズ)のメンバー、島倉りかさん(21)は、自身が生まれるよりずっと前の昭和歌謡の魅力にハマり、造詣が深い。

「昭和歌謡は楽曲からどんどん好きになっていったのですが、最初はリリースされた年などは意識していませんでした。でも、歴史を知ることで流れを意識できるようになり、こういう作品を下敷きにしてこういうアレンジの曲が生まれたのか!というように、新しい発見、おもしろさを感じられるようになりました」

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