※写真はイメージです
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 ようやく厳しい寒さが和らいでホッとしたのもつかの間、春先に心身の不調を感じる人が少なくない。季節の変わり目であり、年度替わりで変化の多いこの時期の「春のメンタル不調」を改善するためにやるべきことを紹介する。

【調査結果】春に不調を感じている人はどれくらい?

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 2020年から続く新型コロナウイルス感染拡大により、多くの人が漠然とした不安やストレスを慢性的に抱えている。そこに、季節や年度の変わり目で生活環境の変化などが重なると、不調を感じる人が増えるようだ。

 企業や医師らが関わり、健康情報を発信している「ウーマンウェルネス研究会」が昨年、首都圏在住の835人(20~50代男女)に、春(3~5月)の不調に関する意識調査を行ったところ、身体の不調である“春バテ”を感じている人が6割を超え、精神面の不調も半数が感じているという結果が出た。

(週刊朝日2022年4月15日号より)
(週刊朝日2022年4月15日号より)

 同研究会のメンバーで、神奈川歯科大学大学院統合医療学講座特任教授の川嶋朗医師は、春先の気圧の変化や寒暖差が影響していると指摘する。

「日本は春先や秋口に移動性高気圧がよく現れ、気圧の変化にさらされます。気圧が下がると空気中の酸素分圧が微妙に下がるため、少ない酸素でも対応できるよう、体が動かないモードに入ろうとします」

 呼吸や循環、消化など生命維持に必要な機能を調整する自律神経というものがあり、昼間や活動している時に活発になる「交感神経」と、夜間や安静時に活発になる「副交感神経」の2種類があるが、気圧の変化に備えて「体が動かないモード」、すなわち副交感神経が優位に働くことで、日中でもだるさや眠気を感じることになる。

「『春眠暁を覚えず』とか、なんとなく気だるいのは副交感神経が強く働いているせいです。ただ、さまざまな活動をしなくてはならない昼間は、多少の気圧の変化があってもすぐには体が動かないモードにならないものですが、現代人は昔に比べると体力が弱ってしまっているせいか、交感神経を保てない人が増えているようです」(川嶋医師)

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