ミッツ・マングローブ
ミッツ・マングローブ

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「森且行さん」について。

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 変に巻き込まれてもアレなので、あまり書きたくはないのですが、小林麻耶さんと元旦那さんの顔がどんどん似てきていて、愛の力は偉大だと感じ入っている次第です。昔から「夫婦は似る」とか「犬と飼い主は同じような顔になる」などと言いますが、一理あると思います。愛というのは「影響し合う」ことです。愛おしさや敬意を抱いていれば表情筋にも影響が及びますから、顔が似てくるのは当然。現に私も飼っている熱帯魚と毎日にらめっこをしている内に、口角が魚のように下がってきました。

 何はともあれ、麻耶さんと元旦那さんが強固な愛と信頼関係で結ばれていることだけは確かなようです。それ以上は、変に巻き込まれてもアレなので書きませんが、麻耶さんの表情の変化度合いから推察するに、今は元旦那さんの方が強い影響力を持っているものと思われます。少なくとも、顔が魚に似てくるよりは間違いなく幸せでしょう。

 顔と言えば、先日テレビで森且行さん(元SMAPのメンバーで現オートレーサー)を観たのですが、その変わらなさ加減には驚きを通り越して感動すら覚えました。SMAP解散から5年。森さんに至っては、SMAP脱退から26年もの歳月が経っています。にもかかわらず現在の森さん、遜色やお世辞なしに「SMAP時代の森くん」のまんまです。

 まるで彼だけ時が止まっているかのように、顔や表情はもちろんのこと、かつてSMAP随一を誇ったスタイルの良さ、そして髪型、ひいては髪質も。時の流れを感じさせる要素がひとつも見当たらない。90年代のSMAPをリアル体験している世代にとって、今もっともSMAPを感じさせてくれる元SMAPは森くんかもしれません。

 解散までSMAPであり続けた5人とはまったく別の世界で、SMAPとは違う過酷な人生を歩み、2020年には日本一にもなった森くん。オートレースの知識は皆無ですが、例えば今やトレンディ俳優だった頃の面影がない竹内力さんと同じくらい、もしくはそれ以上に「別人格」へ変容しても不思議ではない激動の26年だったはず。しかも「元SMAP」という立ち位置でメディアに登場できるようになったのは、ここ10年以内の話であり、ますますもって今の姿が「お変わりない」で済まされる次元のものではないかが分かります。

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ミッツ・マングローブ

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

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