原田知世さん (c)大辻隆広
原田知世さん (c)大辻隆広

 俳優で歌手の原田知世さんがデビュー40周年を記念してオリジナルアルバムをリリースする。タイトルは『fruitful days』。40年のキャリアを重ねてもみずみずしさを失わず、透き通るような声で歌う原田さんらしい作品だ。そんな、歌手であり、俳優である彼女の今とは──。

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「口に出したときの響きや書いたときの文字の並びの美しさを意識して、タイトルを決めました。レコーディングが終わっても毎日考えて、ある日、ふっと浮かんで。自分でも、私の作品にぴったり!と思えました」

 デビューは1982年。14歳のときにドラマ『セーラー服と機関銃』で主演。主題歌の「悲しいくらいほんとの話」を歌った。翌年には『時をかける少女』で映画初主演。松任谷由実が作詞・作曲した主題歌はオリコンチャートで2位。それから40年、俳優であり、歌手であり続けている。

「俳優のオーディションに受かってデビューしたので、10代のころは俳優の意識のほうが強かったと思います。“俳優で歌も歌う”というスタンスでした。音楽でも自分の人生を開いていきたいと思い始めたのは20代後半の頃ですね。『GARDEN』とか『カコ』とか、鈴木慶一さんと出会い、プロデュースしていただくようになった時期です」

 そのころから少しずつ、音楽をつくる現場を自分の“ホーム”のように感じるようになった。

「映画やドラマの現場は一期一会が多い。一つの作品をつくるために出会って、親しくなって、濃密な時間をともに過ごして、撮影が終わると別れていきます。そして、それぞれがまた別のチームで別の新しい作品をつくる。でも音楽は、しばらくは同じメンバーで作品をつくり続けていきます。慶一さんとつくり、トーレ・ヨハンソンさんとつくり、この15年くらいはずっと伊藤ゴローさんとご一緒しています。今のバンドメンバーとも長いお付き合いになりました。40代くらいからは、俳優のお仕事を終えて音楽の現場に戻ると、ほっとする自分を感じています。私にとって、音楽は“自分の帰る場所”です」

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神舘和典

神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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