2021年の全日本選手権、アイスダンスのフリーダンスで演技をする村元・高橋組
2021年の全日本選手権、アイスダンスのフリーダンスで演技をする村元・高橋組

 3月23日、フランス南部のモンペリエで、フィギュアスケートの世界選手権大会が開幕する。2月の北京五輪では、史上最多4つのメダルを獲得した日本代表。世界選手権でも活躍が期待される。

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 なかでも注目は、カップル競技の2組だ。

 北京五輪での清新な演技でファンの心を掴んだ、「りくりゅう」こと三浦璃来・木原龍一組は、2回目の出場。初出場の前回は、いきなり10位に入り五輪代表枠2つをもぎ取った。今季の躍進ぶりはさらに目覚ましく、五輪団体戦では、フリーで2位に入りメダル獲得に大きく貢献した。

 世界選手権でのペア日本代表過去最高は、2012年に高橋成美/マーヴィン・トラン組が獲得した3位だ。世界ジュニア選手権で2度表彰台に上り、グランプリファイナルへも出場した高橋/トラン組だが、国籍問題に阻まれ2014年のソチ五輪前にペアを解消。木原は、その高橋成美に誘われてペアへと転向した。高橋氏はいわば、「ペアスケーター木原龍一」の生みの親。その高橋氏の成し遂げた快挙を更新する可能性が、りくりゅうには大いにある。

 ところで、昨年りくりゅうが持ち帰った「北京五輪出場枠2組」は、国内に他組が居なかったために、1枠を返上することとなった。今季新たに結成した柚木心結(ゆのき・みゆ)/市橋翔哉組のコーチは、高橋氏。りくりゅうの闘いは、日本のペア競技の発展にも大きな力を与えるはずだ。

 アイスダンス代表の高橋大輔は、3月16日に36歳の誕生日を迎えた。世界選手権は9年ぶり9回目の出場であり、同時にカップル競技としては初出場でもあるレジェンドは、2018年に村元がクリス・リード氏と共に獲得した11位(日本勢過去最高位)を超える結果を目指して、フロリダで村元哉中と調整を続けている。

 開催国・フランス代表のパパダキス/シゼロン組は北京五輪の金メダリストで、フランスフィギュアスケート界の象徴ともいえる存在。このため、開催国ではアイスダンスの注目度が非常に高い。強豪国のアメリカ・カナダも、五輪代表を含めたトップ選手が揃って参戦する。上位組のほとんどが結成10年に近いキャリアを持つだけに、2年目のかなだいが食い込むのは容易なことではない。

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「かなだい」日本勢過去最高位は射程圏内