監督 ギレルモ・デル・トロ/25日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開/150分 (c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.
監督 ギレルモ・デル・トロ/25日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開/150分 (c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

「シェイプ・オブ・ウォーター」でアカデミー賞4冠に輝くデル・トロ監督の待望の新作「ナイトメア・アリー」。主要な九つの役を、ブラッドリー・クーパーをはじめ、トニ・コレット、ルーニー・マーラなど、アカデミー賞経験のある名優たちが演じるのも話題。

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 成功への野心あふれる青年スタン(ブラッドリー・クーパー)が辿り着いたのは、人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。そこで出会った読心術の達人から技を伝授された彼は、ショービジネスの世界での成功を夢見て大都会へと旅立つ──。

 やがてスタンは、人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器にトップのショーマンとなり、豪華ホテルのステージで上流階級の人々から拍手喝采を浴びる日々を送るようになる。しかし、心理学者のリリス・リッター(ケイト・ブランシェット)との出会いが、彼の運命を大きく変えていく。さらなる野望のその先に待ち受けていた、想像もつかない闇とは?

監督 ギレルモ・デル・トロ/25日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開/150分 (c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.
監督 ギレルモ・デル・トロ/25日からTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開/150分 (c)2021 20th Century Studios. All rights reserved.

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
読心術の見世物芸を知った男の野心がたどる運命は、やはりデル・トロ監督流。不気味でグロテスクな話の展開に目をそらすことが出来ない濃密な味わいがあり、悪夢の迷路を堕ちていく陰気な歓びが味わえてじわりと楽しい。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★
ダークな世界観や細部までこだわった美術。豪華なキャストも、ブランシェットの悪女を筆頭にみなはまっている。主人公が冒頭でいきなり一線を越えてしまい、原作にあるような屈折した心理が見えてこないのが少し残念。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
長い。30分は削れた。でもあの世界観を見せたかったのもわかります。カーニバルの熱気と時代の再現は素晴らしい。オチは冒頭でわかってしまったけど、それまでの展開の描き方が面白い! 人は成功し始めると狂う。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
見事な3幕構成で、カーニバルを舞台にした第1幕はこの監督ならではの趣向が楽しめる。話が大きく動き出す第2幕から俄然面白くなる。人間の業のモチーフが、監督の初期作品に通じるのと俳優のアンサンブルの妙に心酔。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2022年3月25日号