室井佑月・作家
室井佑月・作家

 作家の室井佑月氏はロシアのウクライナ侵攻を「もっとも罪深いこと」だと非難する。

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 時の一国の指導者たちが下すもっとも罪深いことは、戦争を起こすことではないか。戦争となれば、たくさんの命が犠牲にされる。そうずっと思ってきたし、書いてきた。戦争を起こす以前の、戦争につながる発言でさえ罪深いと。

 戦争となれば投資などで儲かる、そう考えている鬼みたいな人も、世界は広いのでそりゃあ中にはいるだろうけど。多くの善良な市民にとって、戦争とはいきなりはじまり、もしそれに巻き込まれたら、命が助かることだけが唯一の希望となってしまう。それがわかっているのに、戦争を喜ぶ人なんかいない。

 ただし、世界中の多くの人間が戦争に反対しても、それは起こる。

 ロシアがウクライナへの侵攻をたくらんでいる、両国間がきな臭いことになっている、というのは前からいわれていたが、まさかこうもあっけない感じでロシアが軍事侵攻に踏み切るとは思わなかった。なぜなのか?

 2月25日付の「東京新聞 TOKYO Web」に「なぜプーチン氏は破滅的な決断を下したのか ウクライナ侵攻の背景にある『帝国』の歴史観」という記事が載っていて、そこにはこんなことが書かれていた。

「(プーチンが)『ウクライナの真の主権はロシアとのパートナーシップによってのみ可能だ』と結論づけ、ウクライナの主権を事実上否定した。こうした妄想というべき考えの根底にあるのは、ロシアは欧米とは異なる文明を有する偉大な『帝国』であるべきだとするプーチン氏の偏った歴史観と信念だ」

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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