※写真はイメージです
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 最近、気力、体力が落ちてきて、勃起力も……。それ、更年期障害かも。男性ホルモンのテストステロンが減っているのかもしれない。ライターの亀山早苗さんが、その実態と改善法を取材した。

【テストステロン減少による症状はこちら】

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「50の声を聞いてから、どうもやる気が失せてきたんですよね」

 力ない声でそうつぶやくのは53歳のユウイチさん(仮名)。コロナ禍で在宅ワークが増えたのもあり、生活にメリハリがなく、集中力も続かないという。同世代の妻は更年期をものともせず、パートに趣味にと出かける。

「あなたもしっかりしてよね」。そんな妻の声を聞くと、ますます気力がなえていくと彼は苦笑した。

「そういえばと思い返したら“朝勃(だ)ち”とか、ほとんどしなくなっている。セックスレスになってからも長いなあと考えると、鬱々(うつうつ)としてしまって」

 女性特有と思われがちだが、男性にも更年期障害は起こりうる。男性ホルモンであるテストステロンの減少によるもので、正式には加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)という。

 テストステロンは30代から少しずつ減っていく上、個人差が大きいので自覚しづらい。気づいたら、ユウイチさんのように「気力のない自分」になっているというわけだ。そもそもテストステロンとはどういうホルモンなのか。獨協医科大学埼玉医療センター・泌尿器科の井手久満教授に聞いた。

「男性における主要な性ホルモンといっていいでしょう。脳の視床下部からの指令で、主に精巣で作られます。量は少ないものの、副腎や筋肉、脂肪、脳の記憶をつかさどる海馬でも作られています。テストステロンの98%がたんぱくと結びつき、実際には残り2%のフリーテストステロンと呼ばれるものが体の中で働いているんです」

 テストステロンは、精巣を成長させて精子形成を促進し、勃起、性欲、造血、筋肉や骨の強化、認知など、さまざまな機能に作用する。体中のほぼすべての臓器で働いているといってもいい。

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