純白の狩衣(かりぎぬ)に身を包み涼しげな眼差しを向けるその姿は、“麗しの”という大和言葉がぴったりだ。平安の世のカリスマとして名高い陰陽師(おんみょうじ)・安倍晴明。千年以上の時を経て、その神秘的なイメージを見事に体現した三宅健が、“令和版の晴明”として舞台に立つ。親友との絆を描く今作のストーリーに照らして、三宅にとっての無二の友、そしてかけがえのない人について語ってもらった。

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──安倍晴明について、どのような人物だと捉えていますか?

 冷静沈着で頭脳明晰。いつなんどきも軸が揺らぐことのない印象です。一方で、僕が演じるにあたり、「今まで見たことのない晴明」に仕立てようという話も出ました。感情が揺れ動き、発露する場面が描かれるのは、今作の見どころです。

 演出の鈴木裕美さんは僕のことを、「本質的な部分で、夢枕獏さんが描く安倍晴明像と似ている」とおっしゃっていました。できることなら面倒なことには関わりたくないと言いながらも、最終的には関わって面倒をみてしまう、というようなところが似ているのではないか、と。

──物語の中心人物である、晴明の親友の源博雅(ひろまさ)については?

 原作は晴明ではなく博雅が主体となる話です。元々は僕が博雅をやるという話もあったそうです。

 鈴木さんは「晴明がドラえもんで、博雅がのび太という感じ」とおっしゃっていました。博雅を隣で見守って陰で支えている存在が晴明です。見る人が感情移入するのは、苦悩を抱えて晴明に泣きつく博雅のほうだと思います。

──博雅を演じるのは、ジャニーズ事務所の後輩である林翔太さんです。

 彼が10歳くらいのときにV6のコンサートを見て、僕に憧れてジャニーズ事務所に入ったことは、ずいぶん前に聞いていたんです。「いつか一緒にお仕事したいね」と話したこともありました。

 今回の舞台が決まって、林くんは「二人でこうしてお芝居ができる日が来るとは思ってなかった」と喜んでくれました。僕も、同じ舞台に立てることが楽しみです。

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