同市は比較的恵まれた環境にある。子育て支援に力を入れてきたこともあり、30~40代の若い世代を中心に人口増が続いている。ここ10年で約3万5千人増え、今は20万人。人が増えれば、水道事業の運営にあてる料金収入も増える。

 05年のつくばエクスプレス開通に伴う市の区画整理事業に合わせ、新しい水道管を大幅に導入。既存の水道管を毎年2%のペースで更新し続けている。このペースでいけば、50年単位で市内すべての水道管が新しいものに順次、置き換えられていくという。

 3位にランクされた横須賀市は「当レポートについて承知しておりますが、あくまでこれら環境下でのリスク調査と認識しており、これ以上のコメントはありません」(上下水道局)。

 上位の自治体のなかには、「水道管の更新状況や法定耐用年数を過ぎた経年管の割合が考慮されていないのに、リスクが高いと言われても困る」と、担当者が戸惑いを口にするところもあった。

 だが水道管の老朽化への危機意識は、どの自治体も共有する。

 19年秋に施行された改正水道法は、自治体など水道事業者に対し、水道管を含む関連施設の「計画的な更新」に努めるよう求めた。これまでは事業者任せの面が強かったが、自治体側の「努力義務」が明記された。

 街の水道管の状態を知るのに、便利なデータはまだある。日本水道協会が毎年まとめる「水道統計」だ。全国の水道施設の状況から、事業の運営状態まで詳しいデータが公開されている。最新の19年度版をもとに、法定耐用年数を超えた水道管の割合を市区町村別に調べると、「100%」が二つあった。

(週刊朝日2022年2月4日号より)
(週刊朝日2022年2月4日号より)

 大阪府泉大津市や和泉市、高石市をカバーする「泉北水道企業団」(21年3月末に解散し、地域の水道事業は大阪市を除く府内市町村でつくる「大阪広域水道企業団」に移行)と、和歌山県上富田町だ。ふたつの地域では、すべての水道管が40年超、使われていることになる。40年超が8割以上の自治体、事業者も12あった一方、40年超がゼロのところも150余りあった。

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