※写真はイメージです
※写真はイメージです

 リスクが最も高かったのは千葉県流山市。次に大阪府泉大津市、神奈川県横須賀市などが続いた。樋口さんは言う。

「上位の自治体に明らかな共通点は見えないものの、太平洋ベルト地帯など人口が集中し、古くから産業が栄えてきた沿岸部、平野部の市街地近郊が多いようです」

 もっとも、データを見るうえでは注意点もある。まず、実際にどんな水道管が使われているか考慮していないことだ。

「試算はあくまで管路にとっての環境リスクを示すもので、いずれの自治体も、平均的な同じ水道管を使っていると仮定しています。実際には新しい管路もあれば古い管路もあり、強度も違う。また維持管理がしっかりしていれば、事故に至るケースも極めて少ない。このため、数値が高いからといってただちに危険というわけでは必ずしもありません」(樋口さん)

◆リスク高い地域 見極めるのが肝

 また、樋口さんは「同じ自治体の中でも、エリアによってリスクに差があることに注目してほしい」と強調する。

「上位の自治体でもリスクがほぼゼロ、または低いエリアがほとんど。一握りのエリアが全体のリスクを引き上げています。逆に考えれば、水道管の傷みやすい地域を集中的に点検、対処すればよいということです」

 樋口さんによれば、水道管の維持管理や改修、更新などを考える際、従来は管路の経年数に注目する傾向が強かった。だが調査結果からわかるように、同時期に埋められた管路でも置かれた環境によってリスクは大きく変わる。前出の橋本さんは、同社の取り組みをこう評価する。

「大事なのは、リスクが高い地域をいかに見極めるか。今までは経験にもとづいて優先順位を決めることが多かったはず。フラクタ社の分析は、水道管が傷みやすい地域かどうか調べるうえで有効な判断材料になる」

 同社は分析結果をホームページで公開している。

 自治体の受け止めはさまざまだ。ワースト1位となった流山市は「どんな条件で予測したのかよくわからないので参考にした程度」(上下水道局)と冷静にみている。

次のページ