東尾修
東尾修

 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、昨年は自粛したキャンプ視察に期待を寄せる。

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 1月の自主トレ期間中に各球団から選手の新型コロナウイルス感染の発表がなされた。特に先週も話題として取り上げたソフトバンクの柳田悠岐、ともに自主トレをしていた日本ハムの清宮幸太郎、ロッテの安田尚憲らも感染したという。さらにソフトバンクの松田宣浩らの合同自主トレ組、その他の球団からも続々と感染報告があった。

 今のオミクロン株は、どんなに感染対策を図ってもかかってしまうのだろう。この感染の原因を探ることは大切かもしれないが、誰が悪いというわけではない。しかも1月の自主トレ期間中は球団の管理下ではないのだから。一般の会社員で言えば、休日の行動まで会社の就業規則が及ぶ部分が少ないのと一緒。だから球団の責任でもない。しかし、柳田からすれば、2月1日からアピールすべき他球団の若い選手にまで感染させてしまったことを自分の責任と感じているのではないか。

 だが、自分を責めないでもらいたい。柳田は一人でも自主トレを行えるのに、若手の要望を聞き入れ、自らの野球への考えや理論を伝えている。野球界の発展のために、自分の時間を割いているともいえる。だから、彼に非は一切ない。

 昨年までは、コロナが1人出たら、それだけで大騒ぎしたが、Withコロナという中で、いかに活動を止めずにいけるかを皆が考えられるようになっている。12球団は2月の沖縄、宮崎でのキャンプも直前まで有観客を目指して準備を進めていくという。ファンとの交流は限られるだろうが、目の前で選手が努力する姿を見てもらうだけでも活気は違う。最終的には沖縄、宮崎の自治体の判断が最優先ではあろうが、最初からあきらめてしまったら先はない。

 同じように、まだ確定はしていないが、今シーズンは延長十二回まで試合を行うことも検討しているという。昨年は飲食店などへの営業時間短縮要請が出ていたことなども踏まえ、日本シリーズ以外は延長戦を行わず九回打ち切りで、引き分けが急増していた。やっぱり九回までだと、計算が立ちやすい。例えば投手起用に関して言えば、延長のことを考えなくていいから、いい投手をどんどんつぎ込める。十二回まで行うことで、ベンチ入りメンバーの総合力、さらに言えば2軍を含めた総合力の高さがより求められるようになる。監督の采配、決断にも選択の幅が生まれる。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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