いま1歳1カ月。人間でいえば3歳くらいの楓浜。お母さんに甘えるようにしがみついたり、運動場に設置された遊具によじのぼったり、仰向けに転がって竹を食べたり。かわいい“幼児”らしい姿をたくさん見せてくれた (撮影/楠本涼)
いま1歳1カ月。人間でいえば3歳くらいの楓浜。お母さんに甘えるようにしがみついたり、運動場に設置された遊具によじのぼったり、仰向けに転がって竹を食べたり。かわいい“幼児”らしい姿をたくさん見せてくれた (撮影/楠本涼)

 1歳の楓浜(ふうひん)をはじめ、7頭ものパンダファミリーがのびのびと暮らす、和歌山県のアドベンチャーワールド。日本のみならず、中国以外では最多で、これまでに17頭の子どもが生まれている。パンダにとっても、パンダ好きにとっても、たまらない楽園だ。

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 パンダの飼育頭数が、中国に次いで世界第2位を誇る日本。パンダと言えば上野、というイメージを持っている人も多いかもしれないが、じつは現在わが国にいる13頭のうち最多の7頭に同時に会えるのが、和歌山県にあるアドベンチャーワールドだとご存じだろうか。しかも、うち6頭は同パーク生まれ育った子どもたち。1歳から29歳までが、おだやかな気候と良質な竹に恵まれた地で、のびのびと暮らしている。

 屋外運動場で元気な姿を見せるのは、2020年11月22日に生まれた1歳のメス・楓浜(ふうひん)と、ベテランお母さんの良浜(らうひん)。運動場は、限られたスペースでも多様な動きを引き出せるように、傾斜や遊具、登り木が配置され、野生のパンダ本来の生息環境に近づけるよう工夫されている。自由に動きまわるパンダたちに、数メートルという距離で、ガラス越しではなく会うことができるため、竹を食べる音や、息づかいまで感じることができる。パンダにとっても、パンダ好きにとっても、楽園だ。

 29歳のお父さんの永明(えいめい)と21歳のお母さん良浜のあいだに、10頭目の子どもとして誕生した楓浜は、目のまわりの「アイパッチ」と呼ばれる黒い部分が、中央くらいから外側に跳ね上がっているのが特徴。「耳の形や鼻は、お父さんの永明の小さい頃に似ています。最近、頭の上の毛が伸びてきたので、今後、お姉さんの結浜(ゆいひん)のように毛先がとがるかもしれません」(飼育スタッフ、以下同)。

 生まれたときから「鳴き声が力強く、とても元気いっぱいな赤ちゃん」で、「新しい遊具をプレゼントしてもあまり怖がったりせず、すぐに遊び始めます。何度遊具から落ちても気にせずチャレンジしていました」というから、性格は子どものころから「気が強くておてんばだった」というお母さんに似たのかもしれない。

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