監督・脚本 トム・マッカーシー/2022年1月14日からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開/139分 (c)2021 Focus Features, LLC.
監督・脚本 トム・マッカーシー/2022年1月14日からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開/139分 (c)2021 Focus Features, LLC.

「父親たちの星条旗」「シリアナ」などで俳優としても活躍、同時に「扉をたたく人」など良作を監督し、「スポットライト 世紀のスクープ」でアカデミー賞作品賞と脚本賞を受賞したマッカーシー監督の待望の新作「スティルウォーター」。

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 アメリカ、オクラホマ州のスティルウォーターで暮らす失業中の石油掘削作業員ビル(マット・デイモン)は、ドラッグとアルコール乱用で過酷な人生を送ってきた。彼は過去の過ちを償おうと、疎遠になっていた娘アリソン(アビゲイル・ブレスリン)と再会するためフランスのマルセイユへ向かう。彼女は殺人罪で刑務所にいるが、無実を訴えているのだ。

 ビルは自らの手で事件の解決を目指すが、ほどなくして言葉の壁、文化の違い、複雑な法制度に躓(つまず)いてしまう。そんな中、シングルマザーのヴィルジニー(カミーユ・コッタン)と出会い、新しい絆を築き始める。しかし思わぬ形で事件の証拠を掴んだビルは、苦渋の決断を迫られる──。

監督・脚本 トム・マッカーシー/2022年1月14日からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開/139分 (c)2021 Focus Features, LLC.
監督・脚本 トム・マッカーシー/2022年1月14日からTOHOシネマズ シャンテほか全国公開/139分 (c)2021 Focus Features, LLC.

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)

評価:★★★★

石油採掘人のデイモンが米オクラホマから異国フランスへ来て抱く戸惑いや違和感が丁寧に描写され、これが後半に生きてくる。満員のサッカー場で目指す相手を見つけてからのテンポの良さ。父娘の関係のホロ苦さも良い。

■大場正明(映画評論家)

評価:★★★★

異国の地で娘を助けるために一線を越える父親はどれだけの犠牲を払うのか。マッカーシー監督は、トランプ支持層のアメリカ人を主人公に据え、彼を突き動かす感情を掘り下げている。だからこそ彼の最後の言葉が重く響く。

■LiLiCo(映画コメンテーター)

評価:★★★

デイモンどんどんシブくなって最高! 物語はシンプルだけどサスペンスとしても家族愛も、そして他人同士が強い絆で結ばれていくさまにドキドキ。自分の娘を信じながらも、情は違う方向に。彼の心はそれで救われました。

■わたなべりんたろう(映画ライター)

評価:★★★★

フランスで刑務所にいる娘の無実を信じて行動する、実直で不器用な父親をデイモンが好演。フランス語がまったく話せないのにシングルマザーと仲良くなる描写も味がある。単なる救出劇にしない成熟したドラマである。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2022年1月7・14日合併号