アイスダンスのフリーダンスで演技をする村元哉中、高橋大輔組
アイスダンスのフリーダンスで演技をする村元哉中、高橋大輔組

 12月25日、夕刻。全日本フィギュア選手権大会、アイスダンスカテゴリ―の競技が終了した。優勝して四連覇を飾ったのは、小松原美里・尊組。夏木マリのナレーションに乗せて、映画「SAYURI」の世界を力強く表現した。

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 最大のライバルと目されたのは、村元哉中・高橋大輔組。結成2年目ながら、今季出場した国際大会2戦で、相次いで新採点方式での日本記録を更新した。だが、全日本ではリズムダンスで転倒、小松原組を4.81点下回る。バレエ音楽「ラ・バヤデール」に乗せ優美に舞ったフリーダンスで挽回したものの、逆転はかなわなかった。

 長野五輪アイスダンス代表の河合彩さんは、今回の勝負の分かれ目についてこう語る。

「フリーダンスは、ほとんど互角の出来でした。ただ、かなだい(村上・高橋組の愛称)は、緊張からか演技が硬く、リフトの時に足が微妙にぐらつくなど、小さなミスがいくつかありましたね。本来稼げる出来栄え点が出なかったのが惜しい。これに対して、KOKO(小松原組の愛称)の気合は凄かったです。この大舞台でよくぞ、と思わせるほどで、持てる力の全てを出し切ったと思います。まるで息をしていないのでは、というような集中力とユニゾンが素晴らしかった」

 3枠あるシングルと違い、アイスダンスの五輪代表は全日本優勝が唯一の条件ではない。ここまで、今季最高点と今季のワールドランキングは「かなだい」、3年分の成績から算定されるワールドスタンディングはKOKOが上位。全日本の結果で、1枠しかない五輪代表選考の基準は2―2のタイとなる。急角度の成長曲線で国際ジャッジに印象を残した「かなだい」、全日本の大舞台で実力を全て発揮してのけたKOKO、どちらが代表となるかは選考委員の協議に委ねられる。

 河合さんによれば、「全日本優勝組が五輪代表を逃した例はありません。万一かなだいか選ばれると、物議を醸すことにもなりかねない」とのこと。

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世界選手権にかなだいを派遣?