気が向くと名前を呼んだときに返事をすることも ※写真はイメージです
気が向くと名前を呼んだときに返事をすることも ※写真はイメージです

 愛が鳴いてすり寄ってくると、コレを望んでいるな、というのはある程度はわかるもの。でも、今なぜ鳴き続けているの?という場面はないだろうか。もともと猫はあまり鳴かない動物らしい。どういうときに鳴くものなのか、専門家に聞いた。

【写真】加隈先生の愛猫トム君

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 いきなりの愛猫語りで恐縮だが、20歳まで生きた筆者の猫、がじらは、隣近所に響くほどのダミ声で鳴くメスのキジトラだった。子猫らしからぬダミ声のあまり、怪獣のゴジラが名前の由来になったほどである。

 猫が鳴くとき、「ごはんが欲しい」「トイレが汚い」「遊んで」の訴えは、行動や状況から察する飼い主は多いだろう。しかし、鳴く理由がわからないことも少なくない。がじらも夜になると玄関の外に向かってギャオギャオ鳴くので、近所迷惑になるとハラハラしていた。

 黒白ハチワレのハッチ君(1歳)と茶トラのハニ君(1歳)と暮らすサンポさん(仮名)は鳴く意味を知りたくて、スマホアプリの「にゃんトーク」を利用したことがある。

「ハニに比べて、ハッチはつかみどころがない性格。夜に電気を消して寝ようとすると、ウロウロして鳴くんです。かといって、一緒に寝るわけでもない。彼が何を言いたいのかが知りたくて、アプリを使ってみました」

 結果を聞くと「2匹とも当たっているかどうか、よくわからない」と笑う。わかりやすい性格のハニ君が明らかにごはんを求めているのに、「こんにちは」「やぁ」と翻訳されるなど、状況に合わない言葉が並んだからだ。

 履歴を見せてもらい、私はがくぜんとした。ハッチ君の声は「あなたが必要よ」「愛する人、聞こえてる?」「無視しないで」に翻訳され、筆者の「駄猫」にはない愛情あふれる言葉が並んでいた。

 わが家の猫たちは「邪魔しないで!」「だらだらしてる」「イライラする」など、不機嫌な言葉が多く、極めつきは、「超激おこぷんぷん!!」である。日々、下僕として振り回されているのに、飼い主への言葉は、これほど情が薄いのか。

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