※写真はイメージです (GettyImages)
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 ままならないけどかわいいたち。彼らのこと、もっと知りたくありませんか? 現在・過去・未来の猫について学ぶ、名付けて猫学、「ニャイエンス」! たっぷりお届けします。

【かわいい猫のこと、もっと知りたくありませんか?猫トリビア5はこちら】

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 突然ですが、猫と犬、ご先祖様が同じって、知ってました?

 さかのぼると、双方の祖先は、食肉目の「ミアキス」という5千万年以上前に生息したイタチのような姿の動物だとか。ミアキスは、森の中で長く進化を続けたが、時代が下るにつれ、生息地域が平原と森に分かれたという。平原に出ていったのは、犬の先祖。仲間とともに集団で獲物を追い詰める狩猟方法を確立し、社会性が育っていった。一方猫の先祖は、森にとどまり、待ち伏せ型の狩りを単独で行う能力を高める方向へ進化した。狩猟も防衛も、すべて自分で判断し、単独行動で生活してきたのだ。『猫脳がわかる!』(文春新書)の著書がある動物学者で、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)の今泉忠明館長は分析する。

「犬が身に付けた社会性が、人間には『愛嬌』に感じられる。一方、猫の単独行動は、『気まぐれ』ととらえられます」

 そんな事情もあってか、かつて日本は「犬派大国」だった。しかし戦後は猫人気が高まって、ついに犬の飼育頭数を追い抜いたのは、2017年のこと。なぜ、人はこんなにも猫にひかれるのか。

 玄関を開けたら、「おかえり」と言わんばかりに猫が座っていた。悲しくて泣いていたら、猫がやってきて涙をなめてくれた。そんな経験はないだろうか。今泉館長によると、残念ながらこれらの行動は、猫があなたを待っていたり、心配していたりすることを意味するわけではないらしい。

「猫は、縄張りを作って狩りをする動物です。だから毎日、自分の縄張り、つまり家猫なら自宅の中に異常がないか、隅々までパトロールしていないと不安になる。玄関前で猫が座っているのは、音がしたから。涙をなめてくれるのは、家の中にいる『大きな猫』、つまり飼い主が普段と違う様子で、不安になったからです」(今泉館長)

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