ガソリン価格の上昇は生活に大きく影響する
ガソリン価格の上昇は生活に大きく影響する

 原油や原材料、食料品などを輸入に頼る日本経済には、最近の原油高や円安が痛手だ。家計にとっては月数万円程度の負担増になるとの試算も出てきた。

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 原油高や円安の進行が家計を直撃している。

 代表的な原油先物価格を見ると、今秋に1バレル当たり80ドルを突破。1年前に比べ2倍程度に高騰した。新型コロナウイルスの変異株「オミクロン」の登場で景気後退懸念からやや下落したが、それでも70ドル前後。外国為替市場のドル円相場も一時1ドル=115円台と、4年8カ月ぶりの円安水準となった。

 ガソリン価格は、地域によってはレギュラーで1リットル当たり170円台となった。1年前に比べ40円前後の上昇。自動車が必要な地方で暮らす人や、運送業者などにダメージが大きい。原材料高や運送費の上昇もあり、食料品や光熱費など、生活関連の支出項目は軒並み値上げラッシュとなっている。

 原油先物価格が1バレルあたり平均70ドルで推移した場合、今後1年間の家計負担増が2万3千円程度になると、第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストは試算する。80ドルなら2万8千円程度、90ドルなら3万3千円程度の負担増になるとみる。

「ガソリンなどは、生活で使わないわけにいかない。原油高や円安はコロナ禍からの経済回復の勢いを弱める可能性がある」(永濱さん)

 原油高の影響が家計に遅れて出てくると指摘するのは、ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長。「電気代やガス代に反映されるのは半年ぐらいかかる」(斎藤さん)。寒い地方は灯油を多く使う冬場を迎え、地方生活者は自動車を運転している人が多く、特に原油高の影響が大きくなるという。

 斎藤さんは、電気・ガス、ガソリンや灯油を含めた1世帯あたりの月間のエネルギー代を試算。今年9月の全国値は約1万9千円で、来年3月に約3万円に跳ね上がるとしている。北海道や東北では約4万円に上昇するとみている。月間で数万円単位の負担増は痛手だ。

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