最近、少し変わったものが自動販売機で売られていることに、お気づきですか? ペットボトルや缶コーヒーといった飲料が定番だったラインアップが近年、大きく様変わりしています。各地をたずね、何が起きているか聞いてきました。
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西武鉄道所沢駅(埼玉県所沢市)の構内に、目を引く自販機を見つけた。
その名は「Chabacco(チャバコ)」。売られているのは一見、たばこに見えるが、中身はお茶だ。スティック状になった狭山茶の粉末が8本入り600円で売られている。パッケージには、4年前に運行を始めた西武鉄道40000系と、今年4月に定期運行を終えたレッドアロークラシック号を用意した。
本物のたばこさながらのパッケージで、遊び心をきかせた。9月から発売し、所沢駅だけで1カ月で5200個近くを売り上げたという。
喫煙者が減ったことで近年、廃棄されるたばこ自販機が増えている。
一方で若者のお茶離れは進み、後継者不足で茶葉の生産も縮小気味だ。「チャバコ」は、廃棄される自販機の活用と、地域の活性化を同時にかなえる狙いで開発された。
地元・新井園本店の茶葉は甘くまろやかな味わいで、ミネラルウォーターに混ぜることで水から冷茶への「味変」も楽しめる。
西武ホールディングスでプロジェクトを担当する庄司智恵子さんは「予想を超えた反響に驚いています。沿線外の観光客のほか、地元住民が帰省の手土産やプレゼントに買っていく場合もあります」。11月には西武園ゆうえんち駅でも売り出し、新たなパッケージも加えた。今後、西武秩父駅にも置く予定だ。
バニラ、抹茶、ほうじ茶ラテ、いちごミルク──。京王八王子駅(東京都八王子市)にほど近いシフォンケーキ専門店「ボン・ムー」の前に置かれた自販機には、彩り豊かな10種類のシフォンケーキが並ぶ。色合いや凹凸の入り方は実物のようだが、実はどれも「食品サンプル」だ。