帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「性」。

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【性養生】ポイント
(1)生命を躍動させるのはなにより「食」と「性」の営み
(2)性欲は減退しても異性に対する関心は変わらない
(3)「性」を大事にする性養生の方法を是非見つけよう

 私が敬愛する解剖学者の三木成夫先生の持論は「食」と「性」の営みこそが生命の中心であるというものでした。私もそう思います。生命を躍動させる「心のときめき」をもたらすのは、なにより「食」と「性」ではないでしょうか。

 養生にも「食養生」と「性養生」があります。この二つのうち、食養生については語られるのですが、性養生については、あまり触れられません。ですから貝原益軒が『養生訓』のなかで、「接してもらさず」と語ったことが注目されました。

 私の場合、青春時代には、空手と酒と麻雀に手一杯で、女性にはあまり、関心が向きませんでした。実は女性の色気を強く感じるようになったのは、還暦を過ぎてからなのです。そして、こちらが色気を感じるようになると、にわかに女性にモテるようになったのですから、面白いものです。

 妙齢の女性だけでなく、もっと高齢の女性にも色気を感じるのです。そうなると、頬っぺたや襟首、はては和服の袖からこぼれる二の腕に触りたくなります。これはいけないと、その頃から電車には乗らないようにしました。つい隣の女性を触ってしまったりしたら、大変ですから(笑)。

 この私の「性」の高まりは80歳になっても変わらなかったのですが、さすがに2、3年前から衰えを感じるようになりました。いわゆる朝立ちも、からきし無くなりました。しかし、この衰えは性欲の減退であって、異性に対する関心は変わることがありません。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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