「冷や飯組」の二階俊博・自民党元幹事長 (c)朝日新聞社
「冷や飯組」の二階俊博・自民党元幹事長 (c)朝日新聞社

 岸田政権の“時限爆弾”になるのではないかと不安視されるのが、甘利明氏の後任に指名された茂木敏充新幹事長だ。霞が関官僚は言う。

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「茂木さんは、頭の回転が速いのは誰もが認めるところ。一方で、官僚に怒鳴ることはしょっちゅうで、性格はワガママ。官僚にとってもこの人事は脅威です」

 茂木氏の「パワハラ気質」は、これまでも繰り返し問題になってきた。2019年には、霞が関界隈で官僚が作成した茂木氏の“接待マニュアル”を本誌が入手し、その中身を報じたこともある。

 マニュアルには食事の好みや室温、マッサージ師の派遣は女性が望ましいこと、禁煙の風潮が世の中で強まるなか、ヘビースモーカーの茂木氏のために喫煙可能場所のリストを作成することなどが書かれていた。

茂木敏充・自民党幹事長 (c)朝日新聞社
茂木敏充・自民党幹事長 (c)朝日新聞社

「政治とカネ」の疑惑もある。茂木氏の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」では、2016~19年の4年間で1億2千万円以上の使途不明金が発覚したと昨年12月に報じられた。当時、茂木氏は「法令にのっとり処理、報告している」と説明したが、資金の具体的な用途は明らかにしなかった。

 規制緩和をめぐる業者との関係も気になる。今年の通常国会では、4月に解禁となった看護師の介護・福祉施設への日雇い派遣をめぐり、労働条件の悪化につながりかねないと、野党から批判が相次いだ。野党議員の秘書が言う。

◆二階派は弱体化 捲土重来を狙う

「解禁のきっかけは、政府の『規制改革ホットライン』へのNPO法人・日本派遣看護師協会の提案。この協会設立に看護師派遣会社『スーパーナース』の滝口進会長が関与していたことから、『利益誘導だ』と批判された。滝口氏は茂木氏の支援者だったんです」

 日本派遣看護師協会が規制改革を提案したのは18年5月。当時、茂木氏は経済再生相で、規制改革に関する会議に出席することもあった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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