認知症予防にも気をつけているという草野仁さん (c)朝日新聞社
認知症予防にも気をつけているという草野仁さん (c)朝日新聞社

 キャスターの草野仁さんは77歳。健康番組の司会をしたり、ストイックな筋トレで割れた腹筋を披露したりとかなりの健康マニア。そんな草野さんも、テレビに出てくる芸能人の名前が出てこないときがあるという。

「そんなときは、すぐにネットで検索せず、できる限り思い出すよう努めます。思い出していく過程が頭の体操になると思うので、頑張るんです。思い出せたら名字だけでなくフルネームでインプット。そのときはたとえば『松重豊さん、CM、はやく言ってよ』というようにセットで覚えるんです」

 自分の記憶に不安を感じたときは「草野流」のチェック方法で確認するという。その方法は。

「円周率の読み上げ120桁です。学生時代は40桁ぐらいまででしたが、10桁ずつ増やしていって今は120桁暗記しています。脳のことが不安になったときはこれを言えているかを確認します」

 競馬場の過去最高の観客動員数も覚えている。

「東京競馬場は1990年のダービーの19万6517人、中山競馬場は同年のオグリキャップが引退した有馬記念で17万7779人。どうでもいい数字かもしれませんが、これぞと決めた数字を覚えて周囲が驚くと楽しくて、もっと覚えようという気になる。そこから努力してまた楽しい」

 今年から生命保険会社の認知症予防保険のCMにも出ており、認知症予防への意識が高まった。

「遅かれ早かれ、人はみな認知機能が落ちていきます。気にしすぎも問題ですが、無視するのもよくない。私は毎日ウォーキングに加え、ダンベルでの筋トレ(15~30分)、エアロバイク(60分)で体を動かし、知的活動を増やし、大好きな映画を見ながら、思い出せない俳優さんの名前を思い出す頭の体操を楽しんでいます。今のところは大事な約束を忘れることもないですし、人様に迷惑をかけてもいないと思います」

(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2021年11月12日号より抜粋