ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、のチビちゃんです。

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 そのサバトラの子猫を最初に見かけた時、私と母は自転車に乗っていました。子猫は走ってきた車の前に飛び出して、近所の奥様に「ひかれるよ!」と捕まえられていました。

 その子はほんとうに小さくて、奥様いわく「いつの間にか庭にいたんです。うちには猫アレルギーのおじいさんがいて飼えないんです」。

 私たちは、「うちは先住猫がいて飼えるかどうか……。お父さんに聞いてみます」と答えて、段ボール箱に子猫を押し込み、自転車の荷台にくくりつけて帰りました。

 帰宅すると、父は私がこの子を飼いたいと言う前にさっさと箱を開けました。子猫はヒョコッと顔を出し、家の中をグルッと見渡しました。

 私と母が恐る恐る父に「この猫、飼っていい?」と聞くと、父は「この子は『チビ』だ。すぐミルクを買ってきて」と言ったのです。

 すぐにまた母と私は、いそいそと自転車で猫用の哺乳瓶とミルクを買いに行きました。4年前の10月、台風が来る前日のことでした。今ではチビも大きくなり、わがままいっぱいです。「探偵!ナイトスクープ」の松本人志局長のファンでよく見ています。猫にしては夜更かしでいけませんね。でも、金曜日の夜にはニャーニャー鳴いて、見たいとせがむんです。

 このところ、チビをなでるたびに、先住猫だったメイを思い出します。チビは小さな時、よくメイにいじめられていました。そのメイを原因不明の肝臓の病気で亡くした時、私はこれまで生きてきた中で一番泣きました。

 それでも前を向けたのは、最初はちっちゃかったけど今はぽっちゃりのチビ(雌、4歳)のおかげです。(金沢市/54歳/派遣社員)

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週刊朝日  2021年11月12日号