真剣な表情で人気パズルゲーム「ぷよぷよ」をプレーする、高齢者通所施設の利用者(提供/NTT西日本)
真剣な表情で人気パズルゲーム「ぷよぷよ」をプレーする、高齢者通所施設の利用者(提供/NTT西日本)

「スマートフォンを大きな画面につなぎ、メンバー同士で対戦して楽しんでいます。緊急事態宣言が出ているときはできませんでしたが、ここに来てみんなとしゃべったりゲームしたりするのを楽しみにしています」(同)

 参加者は、「目からウロコが落ちるほど夢中になった」「ぼんやり生きてきたけど闘争心に火が付いて、負けると悔しくなった」と話す。

 79歳の母を誘って集まりに参加したという清水聖子さんは、こう話す。

「母にとっては初めてのゲームでしたが楽しんでいました。単純なゲームのほうが盛り上がるみたいで、『自分にもできた』と自信にもつながっているようです。ゲームがきっかけで孫との会話も増えました。母のスマートフォンに簡単なゲームのアプリを入れてあげたところ、家でも遊んでいるようです」

 同協会の活動に関心を寄せる企業は少なくなく、百貨店や旅行会社、IT企業などから協働の相談が舞い込んでいるという。

「今後ますます高齢者が増え、シルバーeスポーツの市場は大きくなるはず。今は既存のゲームを使っていますが、シニア層に特化したゲームやコントローラーの開発が目標。企業と協力して、シニアが操作しやすく、認知症予防にも効果があるものを作っていきたいんです」(水野さん)

 eスポーツがシニアにもたらす効果の研究や、誰もが気軽に体験できる環境づくりなど課題も多いが、大きな可能性を秘めている。(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2021年10月29日号より抜粋