高橋克実さん(右)と林真理子さん [撮影/写真部・高野楓菜、スタイリング/中川原寛(CaNN)]
高橋克実さん(右)と林真理子さん [撮影/写真部・高野楓菜、スタイリング/中川原寛(CaNN)]

 ドラマや映画はもちろん、バラエティー番組や情報番組など、さまざまな分野で活躍している俳優・高橋克実さん。作家・林真理子さんとの対談では、デビューまでの道のりや、お子さんとのほっこりしたエピソードまで、盛りだくさんの内容をお届けします。

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前編/高橋克実は「本格派俳優」ではない? 「『グッディ!』、楽しかったですよ」】より続く

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林:高橋さんって、ホームグラウンドというとどこなんですか。翻訳ものも、前衛的なものも、新橋演舞場でもおやりになるし。

高橋:僕が20代のころ、小劇場ブームというのがありまして、大きいところで言うと、野田(秀樹)さんの「夢の遊眠社」と鴻上(尚史)さんの「第三舞台」の二つがあって、ほかにも三谷幸喜さんの「東京サンシャインボーイズ」とか人気劇団があって、そのブームの中に僕がいた劇団もあったんです。それがスタートですね。

林:最初はテレビとか映画じゃなくて、舞台だったんですね。

高橋:舞台をどうしてもやりたいということではなくて、僕は映画とかテレビを見て育ったものですから、映像の世界にかかわりたいと思ったのがスタートだったんです。でも、いろんなオーディションに行ったりしてもなかなか映像にはかかわれず、自然と自分たちで劇団を作っていた、という感じでした。

林:そうなんですか。

高橋:だから舞台をやるのは最初すごく違和感がありました。「なんで俺、舞台をやってるんだろう」って思っていたくらいです。

林:「映画スターになるはずだったのに」ということですね。

高橋:昔は映画の撮影所があって、大部屋のシステムがあったんですけど、僕らのときはもうそれもなかったですし、どうやったら映像の世界に行けるのかまったくわからずにオーディションに行って、落ちた人同士でしゃべっているうちに「舞台でもやろうか」という、そんなのがスタートでした。

林:そういうパターンって、めずらしいんじゃないですか。舞台をやる人って、舞台を見てシビれて「貧乏でもいいから芝居やろう」みたいな方が多いと思いますけど。

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