動画でシャドーボクシングを披露するデン爺さん(当時82歳)
動画でシャドーボクシングを披露するデン爺さん(当時82歳)

 YouTubeで自作の動画を公開する「ユーチューバー」。今や小学生のなりたい職業ランキング上位の注目業界に、近年シニア層が進出している。YouTubeに老後の生きがいを見つけた「シニアユーチューバー」の姿とは──。

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「己の寝相で筋肉痛になる男、デン爺です」

 独特なシニアギャグが炸裂する動画で話題をよぶ、デン爺さん(84)の「Dangerous爺ちゃんねる」。チャンネル登録者は7.5万人で、LINEスタンプまで販売される人気ぶりだ。

 デン爺さんが動画配信を始めたのは2年前。テレビで高齢女性ユーチューバーが紹介されているのを見て、「俺のほうがおもしろい動画を作れる」と一念発起したという。

 それまでYouTubeはほぼ見たことがなかったが、三脚にセットしたビデオカメラで自身のトーク姿を撮り、孫にアドバイスをもらいながらパソコンを使って動画編集に挑戦。慣れてくると、BGMや字幕もつけられるようになった。

「爺の本気シャドーボクシング」「昭和時代のありえない就職面接」「こんなジジイおるおる再現VTR」……。日常の出来事や自身の体験を、自嘲気味の高齢者ネタを交えて紹介し、投稿動画は130を超える。広告収入が月20万円を超えたこともある。

 チャンネルには、いつも動画にコメントをくれるリピーターや、熱烈なファンがついている。

 1年ほど前、突然自宅のインターホンが鳴り「デン爺さんですよね?」と聞かれた。玄関前に立っていたのは30代くらいの男性。以前近所に住んでいたことがあり、動画に映っていたデン爺さんの自宅周囲の様子から場所がわかったという。わざわざ山口から訪ねてきた男性は、缶ビール3本と地元銘菓の三笠饅頭を手渡すと、そのまま帰っていった。

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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