室井佑月・作家
室井佑月・作家

 作家・室井佑月氏は、NHKの理不尽な契約を語る。

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 今日は9月の25日だ。ニュースは自民党総裁選の話題ばかり。嫌な予感がする。この祭りは衆議院選の公示日ギリギリまでつづけられるんじゃないか。野党共闘を応援しているあたしにとっては、とても苦々しい。

 いやいや、苦々しいなんて感情はもうとっくに超えている。あたしは憧れてメディアの仕事につき、その末端にいる。多くの仲間は(一部、正義感に燃えている人もいるが)、いつになったら正しいことをしてくれるんだよ? あたしはそう声を大にして叫びたい。

 話は変わって、今週も先週につづき「理不尽な話」をしようと思う。総裁選の話は飽きた。

 じつはあたし、結婚し、東京から新潟へ引っ越した。きゅうな引っ越しだったので、東京の家はそのまま残してある。

 一人息子も大学進学と共に一人暮らしをはじめることになったので、東京の家は荷物置き場のようになっている。

 あるとき、ふと気づいた。東京の家のNHKの受信料を止めてないと。もうそこにはテレビなんてないのだ。

 NHKのふれあいセンターに電話して、その旨を告げた。「解約したいです」と。聞かれたので、理由も述べて。

 しかし、スムーズに解約してくれないのだ。新潟の方での契約を確認してからじゃないと解約できません、という。けど、新潟の家は旦那が家主なんだわ。

 引っ越しのバタバタで新潟での契約がまだできていないなら、契約しますので新住所にどうぞ書類を送ってくださいと述べた。ただ、そのときの契約者は旦那になります、と。でもNHKは、あたしの解約とあたしの新契約は同時にという。

 そういえば以前、息子の学校の都合で、東京に週に5日、愛媛に週2日、住むことになった。愛媛の新しく借りた家にNHKの集金の人が来て契約を迫られた。

 でも、あたしの体は一つ。月曜から金曜まで東京にいて、土日が愛媛。息子は寮生活だ。なんで東京で契約しているのに、愛媛でも契約しなきゃいけないのか訳がわからなかった。愛媛と東京と同時にテレビ見られるわけない。だからそういった。そしたら、「でも規則なんで」の一点張りでかなり粘られた。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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