国民的俳優として名が通る岡田准一が、新選組を描いた映画「燃えよ剣」で、土方歳三を演じた。演技も肉体も、殺陣までも磨き上げ、「真似できない」と後輩が嘆息するほどの高みにたどり着いた。それでもなお己を鍛え続ける姿はまさに、現代の侍だ。

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 映画「燃えよ剣」で演じた土方歳三は、「年を重ねて、なんとなく自分が演じるんだろうなと直感していた」役だった。

「土方は元々正規軍だったのに、時代が変わって気がついたら非正規軍側になっていました。悩みや葛藤も一通り抱えたうえで戦うという決断をしている。一種の無情さが匂ってくるのが本当の男らしさかなと思います。『等身大の友や仲間を追い求めた悲しき瞳を持った人』という、自分の好きな土方にできたと思っています」

 大切にしているのは、「岡田という自分ではなくて、役柄を愛していただける作品を作る」こと。「僕自身と土方という人物とのシンパシーはありません。こういう人ではないですね、僕は」と笑いながらも、「土方に振り向いてもらえた感じがしました」と語る。

「役に呼ばれる瞬間というのがあるんです。それが役者としての成功の鍵だったりするんですけど」

 今作では主演だけでなく殺陣の構成や指導役も担った。

「みんな僕のことを気にするんですよ。『今のできてたか?』って、顔を見てくるんです。だから、土方っぽいですよね、現場でも(笑)」

 土方を追い求め、土方顔負けのリーダーシップで現場を引っぱる。誰もが認める「役に呼ばれた男」の姿があった。

岡田准一/おかだ・じゅんいち 1980年、大阪府生まれ。「V6」メンバー。俳優として精力的に活動し、「永遠の0」「海賊とよばれた男」「関ヶ原」など数々の映画に出演してきた。土方歳三を演じる主演映画「燃えよ剣」(司馬遼太郎原作)は10月15日公開。

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週刊朝日  2021年10月8日号