岸部一徳 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)
岸部一徳 (撮影/写真部・戸嶋日菜乃)

 人気ドラマ「ドクターX」シリーズをはじめ、数多くの作品で独特な存在感を示してきた俳優の岸部一徳さん。作家の林真理子さんとの対談で、コロナ禍の撮影事情や2人の「恩人」について語りました。

【林真理子さんとのツーショット写真はこちら】

沢田研二は「どんなときでもプライドを貫く」 岸部一徳が語る人となり】より続く

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林:コロナでお仕事のほうはいかがなんですか。

岸部:最初の1年ぐらいは、撮影現場なんかもほとんど全部中止だったんです。その分の仕事が、今年にみんな回ってきている、という感じですね。

林:それじゃあ、お忙しいですね。秋から「ドクターX」も始まるみたいですし。

岸部:あのシリーズはもう10年目ですけど、始まったのは林さんと前回対談したあとですかね。米倉(涼子)さんも、ここに出たんですか?

林:はい、以前出ていただきました。脚本の中園ミホさんにも。岸部さん、あのドラマになくてはならない存在で、「メロンです!」「請求書です!」が決めゼリフで、華麗にスキップしているところも有名ですし、すごく楽しそうな役柄ですね。米倉さんも大女優への階段を着々と……。

岸部:そうですね。

林:でも、どこかのメディア報道で読みましたけど彼女、「俳優として、役の色がつきすぎるのはちょっと……」と話しているとか。俳優さんって、そういうことを考えるものなんですね。

岸部:主役の人はそうなんでしょう。同じ役をずっとやっていると、どうしてもそのイメージがついてきますからね。僕なんかだと、いろんな役をやるので、「この役のイメージ」というふうにはなりませんけどね。

林:樹木希林さんが、生前、何かのインタビューで「私みたいなポジション(脇役)がいちばんいい。いろんな作品に出てお金が稼げるし、責任をとらなくてもいいし」とおっしゃっていました(笑)。岸部さんもそんな感覚をお持ちなんですか。

岸部:僕は、そんなに引っ張りだこでもないですよ。でも、希林さんは昔からそう言ってましたね。希林さんは四つぐらいしか年上じゃないんですけど、大先輩みたいな気分でしたね。僕、音楽の世界に入るときに、内田裕也さんが見つけてくれて東京に出てきたんですよ。

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