作家・室井佑月氏は、菅首相の総裁選不出馬を明らかにした会見について物申す。

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室井佑月・作家
室井佑月・作家

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イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 菅首相が退任することになった。9月3日、菅さんは記者団に対し、その理由をこう述べた。

「新型コロナ対策と選挙との両立は、ばくだいなエネルギーが必要。新型コロナ対策に専念したい」

 はぁ? 最後までこの方がなにをいってるのか意味不明だ。

 選挙で利用したいがため、国威発揚を狙って東京五輪を強行した。巷では新型コロナに対する緩みが出てきて、感染者は爆発的に増えた。でもって、その間、政府は無策だったから、医療は崩壊に近い状態となった。あたしたちは、満足な補償もなく、感染しても自宅療養を余儀なくされることになった。

 今、コロナは家庭内感染が増えている。感染者が急に増えた沖縄の調査では、その7割ほどが家庭内感染だという報告もあった。感染者の自宅療養とは、無策のなせる業としか考えられない。

 デルタ株につづき、ラムダ株、そして今はミュー株が日本に入ってきてしまったといわれている。それらは感染力が強く、ワクチンを打っても感染してしまうという。

 というか、ワクチンの効果は半年あまりといわれている。ということは、これからそれらの株が広がるころには、最初にワクチンを打った医療従事者やお年寄りのワクチンの効果がなくなってるはずだ。その場合、重症化して死亡しやすいお年寄りに3回目のワクチンを打つのかどうなのか? この国では、まだまだワクチンが行き渡っていない人がいるのに。

 自分の身を守るため知りたいことはたくさんあるのに、菅さんは国会から逃げた。そして、テレビは自民党の総裁選祭り。

 もうほとんどの人はわかってるでしょ。菅さんを総理にしたのは誰よ? 安倍前首相、麻生副総理、二階幹事長が暗躍し、子分たちの票を取りまとめてきたんじゃない?

 コロナ無策の国民放り投げ、だけじゃない。ここ10年あまりで、権力の私物化や、公文書の廃棄や税金の横流しなど、政治の腐敗が進んだ。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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