女性候補の高市氏は保守右派で、かつて電波法に基づく電波停止に言及したときは、私も強く反対した。

 当初は、出馬に必要な議員数をそろえられないのではないかと見られていたが、安倍氏が支持を表明したことで、出馬はできそうである。

 野田氏にも頑張ってほしいが、当選の可能性が高いと見られているのは、石破氏が支持をしそうな河野氏である。

 だが、河野氏を何としても首相にしたくない、と考えている勢力がある。その代表的な存在が、経済産業省だと見られている。

 河野氏は原発反対を強く唱えていた。外務大臣に就任して以後は、反原発を表明しなくなったが、あえて閣内で波を立てるのを避けているだけで、意識は全く変わっていない、と誰もが見ている。多くの政治家と違って、簡単に豹変(ひょうへん)しないのが、河野氏が信頼されるゆえんなのである。

 だから、経産省も全国の電力会社も、河野氏が首相になるのは困るわけだ。

 そして多くの自民党議員たちは、原発に対しては、情けないほどあいまいである。そんな彼らが河野氏をどのように捉えるのであろうか。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年9月24日号

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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