室井佑月・作家
室井佑月・作家
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、菅義偉首相を担ぎ上げた自民党議員やメディアに憤りを隠さない。

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 この原稿を書いているのは8月28日の土曜日。政権与党の自民党内がざわついているようだ。この日の「毎日新聞デジタル」に、「保身に走る自民『長老』3派閥 総裁選勝ち馬見極めに右往左往」という記事が載っていた。

「菅義偉首相(72)=無派閥=の自民党総裁任期満了に伴う総裁選で、首相を就任から支えた細田派(96人)、麻生派(53人)、二階派(47人)の政権中枢3派閥が動揺している。支持者の首相批判の高まりを目の当たりにし、ここにきて各派議員たちは『菅首相では衆院選の顔にならない』と右往左往。特に麻生派では幹部からも首相交代論が相次ぎ、対抗馬の岸田文雄前政調会長(64)=岸田派=に『麻生氏が乗り換えるのでは』との観測もささやかれる」そうだ。

 前日の「JIJI.COM」には、「二階派『首相支持』に異論噴出 自民総裁選、動き活発化」という記事があった。なんでも、24日、菅首相の再選を二階俊博幹事長がいち早く支持したが、二階派内では異論が噴出しているそうだ。26日にあった二階派の懇談会を二階氏が欠席したら、24日の親分の発言について、子分から「メンバーが生き残れる道を考えてほしい」との声があがったという。

 でもって、国民人気の高い進次郎さんは菅首相支持を表明。そして27日、おなじく国民人気の高い石破茂さんが、やっぱり総裁選に出るかもみたいなことをいい出した。

 ……一言、いっていいですか? おまえら、もういい加減にしろ!

 あのさ、菅首相は誰が選んだの? 前の首相の安倍さんが体調が悪くなりいきなり辞めることになって、コロナ禍の中、時間がないってことで党員投票もせず、自民党の派閥の領袖(りょうしゅう)たちが子分議員の票を取りまとめて、満場一致に近い形で担ぎ上げたんじゃないの?

 菅首相のもとでコロナ対策は迷走し、で、今に至る。彼のもとでの選挙が負けつづけているって、そりゃあ、当然だ。仕事もできないわ、語る言葉もないわだろ。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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