映画「その日、カレーライスができるまで」は、9月3日から池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開(c) 2021『その日、カレーライスができるまで』製作委員会
映画「その日、カレーライスができるまで」は、9月3日から池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
(c) 2021『その日、カレーライスができるまで』製作委員会
リリー・フランキー (c)HIROSHI NOMURA
リリー・フランキー (c)HIROSHI NOMURA

 リリー・フランキーさんは、来年公開の日英合作映画の撮影のために、8月上旬までロンドンに滞在した。撮影を終え帰国すると、東京で2週間の隔離生活に入った。

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「最初の6日間はホテル生活。そこでの生活は、まるで未来の刑務所にいるみたいでした。1日3回、『お弁当はドアノブにかけてあります。外に出ないように取ってください』という館内放送があって、廊下をウロウロすることも許されない。ホテル隔離の後、自宅に戻ってからも一歩も外に出てないです。心配してくれている知り合いがお弁当を届けてくれることもありますが、食事のほとんどはUber Eats。もともと、ものを書いていて1週間ぐらい外に出ないことはあったけど、コロナ禍を経験すると、Uberさえあれば外に出なくても生活できるんだなぁと実感しますね」

 普通にスーパーに買い物に行けていたときは、よくカレーを作っていた。コンロの前で火加減を見るような料理ではなく、カレーや筑前煮など、しばらく放っておいても大丈夫な煮込み料理は、物書きが作るメニューとしては都合がいいという。

 9月3日に公開される映画「その日、カレーライスができるまで」で、リリーさんは、別れた妻を思って、3日かけてカレーを作る男を演じている。企画とプロデュースを担当したのは映画監督としても活躍する、齊藤工さん。大ヒットドラマ「半沢直樹」の脚本も手がけた金沢知樹さんが、スーパー・エキセントリック・シアターの野添義弘さんの還暦記念公演のために書き下ろした一人芝居が原案になっている。

「家にたった一人、ラジオを聴きながら、ぐずぐずカレーを作るおじさんの話です。そう言ってしまうと、『何が面白いんだ?』と思われそうですが、コロナ禍になって、こういう生活をしているおじさんはいっぱいいるんじゃないかな、と。スーパーに行くしか自由がない人。大切な人に会いたくても会えない人……。人は人とつながっていかなければいけないけど、それが許されない時代に、ラジオがある役割を果たしてくれる。かなり今っぽい映画になったんじゃないかと思いますね」

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