田原総一朗・ジャーナリスト (c)朝日新聞社
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イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 ジャーナリストの田原総一朗氏は、ワクチン供給における混乱について語る。

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 7月31日に、新型コロナウイルスの東京都の感染者は4058人、国内では1万2341人と、爆発的に急拡大した。

 菅義偉首相をはじめ政府幹部は、緊急事態宣言を発令して2週間を経れば、感染者数が減るものと捉えていたのだが、予想しない深刻な事態となったのである。

 専門家たちは、いずれもこの事態に困惑し、拡大がどこまで進むのか、見当がつけられないでいる。

 感染が拡大すれば、当然医療は逼迫(ひっぱく)し、医療崩壊に至る危険性がある。そこで結局、ワクチン頼みにならざるを得なくなる。

 すでに国民の多くが熟知しているが、日本はワクチン獲得競争で、世界の先進国から大きく遅れてしまった。厚生労働省が当初、米ファイザー社からワクチンを購入するとき、慎重を期して、まず百数十人分を買い、医師たちに手配した。約120人に接種後、1~2カ月様子を見て、大きな副反応が生じていないことを確かめてから承認したので、購入が世界の先進国から大きく遅れてしまったのである。

 このことは菅首相自身が、失敗だった、と認めている。

 そのために、接種率が英国では約70%、米国でも50%を上回っているのに、日本では40%ほどである。

 そして、菅首相は5月の初めに、1日に100万人に接種すると言い切っていたのに、少なからぬ地方自治体の首長が、「ワクチンが足りない」と悲鳴を上げている。

 これは、一体どういうことなのか。いつになったら英米並みの接種率に達することができるのか。その可能性はあるのか。

 そこで、菅首相がワクチン担当の切り札として大臣に任命した河野太郎氏に、「激論!クロスファイア」に無理して出演してもらった(放送日は8月1日)。まず、感染者数の爆発的な急拡大についての河野氏の認識を問うた。

「正直言って、私自身、このような感染の急拡大は予想していなかった。しかし、ワクチンの接種が進むことで、重症者、死亡者の数が減ることは、英国、米国を見ても実証されています」

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田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

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