東京五輪の男子予選の鉄棒で「ブレットシュナイダー」を決める内村航平=7月24日 (c)朝日新聞社
東京五輪の男子予選の鉄棒で「ブレットシュナイダー」を決める内村航平=7月24日 (c)朝日新聞社

 体操界の「キング」こと内村航平(32)は、五輪4大会連続出場。2012年ロンドンで個人総合金、16年リオ五輪は個人総合と団体総合で金を取った日本のエースだ。

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 リオ後はケガに苦しんだ。19年は両肩の痛みに苦しみ、世界選手権の代表を逃し、10年連続で制していた全日本個人総合選手権の連覇も途絶えた。それでも諦めず、東京五輪出場を目指してきた。

 先月の全日本種目別選手権で、同じく個人枠を狙う跳馬の米倉英信との一騎打ちで、内村に軍配が上がった。内村にとっては初となる鉄棒の1種目に絞った五輪出場だ。

 これまでずっと6種目すべてにおいて難易度の高い技を美しく見せ、高得点を出し、総合点の高さでトップに君臨してきた。「6種目をこなしてこそ体操」という固定観念を揺るがしたのは、小学生のころからの付き合いである一つ年下の佐藤寛朗コーチの一言。「6種目やる必要ありますかね。そんな痛い思いまでしてやっても鉄棒も良くならないと思う」

 決断をしたのは20年の2月。「豪州から帰国して1週間、鉄棒だけをやっていたらすこぶるよかったから」だとメディアに明かしている。

 内村の鉄棒は、ぶれない着地に、足先まで神経の行き届いた美しい技が持ち味。リオ五輪では1点近く離されていたオレグ・ベルニャエフ(ウクライナ)を最後の種目の鉄棒で、地面に吸い付くような着地を成功させ逆転優勝し世界を驚かせた。

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