「現場の捜査官はマトリの精鋭300人と言われている猛者ぞろいですが、現在のマトリの部長や指揮官が厚労省からのキャリアが多く、現場を知らないのが理由です。仕事ができる現場の捜査官は上司に煙たがられて冷遇され、能力が無い人間が上司との関係性で上に立つ。このような状況に若い捜査官はやる気を失う一方です。どれだけ頑張って過酷な張り込みや捜査をしても報われることがありませんから」(前出の関係者)

 違法薬物犯罪と日夜戦っているイメージのマトリだが、組織としてはうまく回っているとは言い難いのが実態のようだ。

 マトリの捜査官は薬剤師としての資格を持っている。現状の組織のあり方に不満を持つ捜査官の中には、大手のドラッグストアなどで薬剤師として勤務し、それなりの収入を得た方がいいと考え、離れていくケースも少なくないという。

 大麻をめぐっては、これまで大麻取締法で規制されていなかった「使用」についても罰則が設けられる方向で法改正の準備が進められている。しかし、肝心の取り締まる側のマトリが、内部のゴタゴタで捜査官の士気に影響しているようでは、容疑者の逮捕に力を発揮できるのかひとごとながら心配にもなる。

 組対五課といい意味で争っていた時代はもう来ないのであれば、残念なことだ。(花田庚彦)

※週刊朝日オンライン限定記事